元本確定が明らかor明らかでない/元本確定事由まとめ

元本確定が明らかor明らかでない 元本確定登記

根抵当権の元本が、確定していることが、明らかか否かは、非常に重要な論点です。
そこで、今回の記事では、

根抵当権の元本確定事由について、
01 登記記録上 元本確定が明らか
02 登記記録上 元本確定が明らかではない
03 根抵当権者が、単独申請できる元本確定事由

根抵当権の元本が確定前・後でできる登記について、
04 元本確定前or確定後にできる登記
 a.極度額変更の利害関係人
05 早見表スクショ用
・・・についてをまとめています。

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01 登記記録上 元本確定が明らかな「元本確定事由」

登記記録を見れば元本確定が明らかなので、元本確定登記は入れなくてもよい「根抵当権の元本確定事由」についてをまとめた表が次のようになります。

登記された「元本確定期日」の到来
「根抵当権自身」が競売,担保不動産収益執行の申立て,滞納処分による差押え
相続開始時から「6ヶ月以内」に『指定根抵当権者』or『指定債務者』の「合意の登記」がなされていない場合
自然人である「設定者」に「破産手続が開始」された場合
「第三者」による「担保不動産収益執行」は、元本確定事由ではありません。

02 登記記録上 元本確定が明らかではない「元本確定事由」

登記記録からは元本が確定したかどうかが判明しない「根抵当権の元本確定事由」について、まとめた表が次のとおりです。
(元本確定が明らかでなければ、元本確定登記を入れなければならないということになります。)

元本確定が明らかでない「根抵当権の元本確定事由」です。

「根抵当権者」自身による「物上代位」による「差押え」※1
「設定者」からの「元本確定請求」
「根抵当権者」による「元本確定請求」
「根抵当権以外の第三者」による競売or滞納処分による差押えがされ、「根抵当権者」がこれを知った時から2週間経過
「設定者ではない債務者の破産」及び「法人設定者の破産」※2
「共同根抵当権」が設定されている場合における、一方の不動産において「根抵当権の元本が確定」した場合の他方の不動産 ※3
「第三者」による「担保不動産収益執行」は元本確定事由ではありません。
 
※1 「根抵当権者」自身がやったとしても、『物上代位による差押え』は ” 債権差押え ” なので、登記記録には出てこない。
                 ▼
      なので、元本確定登記を入れなければなりません。
※2 
●「設定者でない債務者」は「不動産の所有権者ではない債務者」なので、その債務者の破産は不動産登記記録には出てこない。
●「法人」の破産は、商業登記に出てくるので、不動産登記記録には出てこない。
                 ▼
      なので、元本確定登記を入れなければなりません。
※3
甲土地と乙土地に共同根抵当権が設定されている場合に、甲土地のみが元本確定すれば乙土地についても元本は確定する。
この場合に、たとえ甲土地については元本確定が明らかであっても、乙土地については「登記記録上」明らかではない。
                 ▼
      なので、乙土地は元本確定登記を入れなければなりません。

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03 根抵当権者が、単独申請できる元本確定事由

設定者ではない債務者の破産-根抵当権者が単独で元本確定登記申請可

根抵当権者が、単独で「元本確定登記」を申請できる場合をまとめた表です。

次の表の「3~5」は、上記の表に対応しています。

「根抵当権者」による「元本確定請求」

【登記原因証明情報】配達証明付き内容証明郵便
「根抵当権以外の第三者」による競売or滞納処分による差押えがされ、「根抵当権者」がこれを知った時から2週間経過

【登記原因証明情報】
催告又は国税徴収法55条の規定による通知を受けたことを証する書面
「設定者ではない債務者の破産」及び「法人設定者の破産」

【登記原因証明情報】破産手続開始決定があったことを証する書面 官報
上記3,4,5の場合、根抵当権者が単独で元本確定登記を入れることができるんですが、ただし、4,5の場合は、「根抵当権」or「根抵当権を目的とする権利」の取得の登記と共に申請する場合に限り認められます。

※元本確定の効果が覆滅していないことを明らかにするためです。

04 元本確定前or確定後にできる登記

【元本確定前にのみできる登記】

根抵当権の全部譲渡
根抵当権の一部譲渡
根抵当権の分割譲渡
共有者の権利の全部譲渡
・共同根抵当権追加設定
・「債務者」or「債権の範囲」の変更
・「優先の定め」は「元本確定前に合意」していれば、「元本確定後」の申請もOK

 

【元本確定後にできるようになる登記】

・被担保債権の「債権譲渡」や「代位弁済」による「根抵当権移転」
・「極度額減額請求」による「極度額の変更登記」
・根抵当権消滅請求による抹消登記
・根抵当権(元本確定後)の順位譲渡
根抵当権(元本確定後)の順位放棄
根抵当権(元本確定後)のみの譲渡
・根抵当権(元本確定後)のみの放棄

 

【元本確定の前後を問わずできる登記】

・極度額の変更
・転抵当
・順位変更

 

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a.極度額変更の利害関係人

根抵当権の「極度額の変更」により、増額する場合 or 減額する場合 とで利害関係人が違ってきます。
その極度額変更の利害関係人をまとめた表が次のとおりです。

極度額の増額変更 極度額の減額変更
同順位・後順位の担保権者 当該根抵当権から転抵当を受けた者
当該根抵当権から順位譲渡等を受けた者
後順位所有権の仮登記権利者 当該根抵当権の差押債権者・仮差押債権者
後順位所有権の差押債権者・仮差押債権者 当該根抵当権の「移転請求権」の仮登記権利者
当該根抵当権に順位譲渡等をしている先順位担保権者  

 

05 早見表スクショ用

上記の『元本確定が明らかのまとめた表』と『元本確定が明らかでないのまとめた表』の、スクショ用画像を作成しました。
スマホで気軽に暗記ツールとして、ご活用ください。

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