【2023年更新】抵当権と根抵当権の違い,抵当権消滅請求・根抵当権消滅請求・極度額減額請求・代価弁済の比較まとめ

抵当権と根抵当権の違い、抵当権消滅請求,根抵当権消滅請求,代価弁済,極度額減額請求の比較表 (根)抵当権

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今回の記事は、

01 抵当権と根抵当権の違い・比較
02 抵当権消滅請求と根抵当権消滅請求の比較
 a.抵当権消滅請求
 b.根抵当権消滅請求
 c.抵当権と根抵当権の請求権者の比較表
03 根抵当権消滅請求と極度額減額請求の比較
 a.根抵当権消滅請求
 b.極度額減額請求
 c.根抵当権消滅請求と極度額減額請求の請求権者の比較表
04 抵当権消滅請求と代価弁済の比較
 a.抵当権消滅請求
 b.代価弁済
 c.抵当権消滅請求と代価弁済の請求権者の比較表
・・・についてを、イラスト付きでわかりやすく解説しています。

01 抵当権と根抵当権の違い・比較

例えば、「家を担保に入れて、お金を借りた」とは、「権利や財産」を借金などの保証に当てることをいいます。
その担保とは、抵当権や根抵当権のことです。

担保権の中でも、抵当権と根抵当権の違いについて、イラストを使ってわかりやすく解説します。

a.抵当権

【抵当権とは?】

債務の返済が滞り返済されない場合に備えて、不動産を担保にとっておき、その担保から他の債権者に優先的に弁済を受ける権利のことです。
 
【事例】
1⃣銀行から住宅ローン・融資を受け、家を買いました。(債務者兼設定者)
 融資をした銀行は、抵当権の設定を受けました。(抵当権者)
抵当権とは-1.銀行から住宅ローン・融資を受け、家を購入しました。(債務者兼設定者)一方、融資をした銀行は抵当権の設定を受けました(抵当権者)

2⃣ところが、債務者が住宅ローンの返済を滞り、抵当権者は「抵当権の実行」し、抵当不動産を競売にかけました。
抵当権とは-2.債務者が住宅ローンの返済を滞り、抵当権者は「抵当権の実行」し、抵当不動産を競売にかけました。

3⃣抵当不動産の競売の結果、競売の落札者から売却代金を受け取り、住宅ローンとして融資していたお金を、優先的に回収することができます。
抵当権とは-3.抵当不動産の競売の結果、競売の落札者から売却代金を受け取り、住宅ローンとして融資していたお金を、優先的に回収することができる。

ちなみに住宅ローンの全額を完済した場合には?

上記の事例では、住宅ローンの返済を滞ってしまったから、抵当権が実行されたわけですが、普通に住宅ローンの全額を完済した場合には、抵当権は消滅します。

債務の全額を完済した場合には、抵当権は消滅します。

住宅ローンの全額完済の例としては、
その家を売って、買主さんから代金を受け取り、そのお金で抵当権者(例:融資をしていた銀行)に被担保債権(住宅ローン)を全額返済し、抵当権を抹消するみたいな流れがあります。


そこで登場するのが、買主側の所有権移転登記申請と売主側の抵当権抹消登記申請を代行する司法書士さんです。

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b.根抵当権

根抵当権の解説図-1 極度額の範囲内で、根抵当権者はa債権・b債権を貸し付けた
【根抵当権とは?】

あらかじめ極度額を設定しておきます。そして、その極度額の範囲内で、継続的な取引関係から生じる債権を担保する抵当権です。

普通の抵当権では、たとえ同じ金融機関から追加の融資を受けるときでも、また新たに抵当権の設定をしなければなりませんが、根抵当権の場合はそこが大きく違ってきます。

根抵当権の場合には、極度額の範囲内であれば、同じ金融機関から追加の融資を受ける際にも、新たに抵当権を設定し直す必要はありません。
例えば、「極度額 3,000万円」の根抵当権では、3,000万円を返済した場合でも、根抵当権は消滅しません。
再度、「極度額 3,000万円」の範囲内で、融資を受けることができます。
そして、その極度額はある一定の条件で、元本が確定します。
元本が確定後は、普通の抵当権とほぼ同じになります。

根抵当権をイラスト解説図を使ってわかりやすく解説していきます。

【事例】
1⃣極度額3,000万円の範囲内で、「a債権1,000万円」「b債権1,200万円」が発生しました。
根抵当権の解説図-1 極度額の範囲内で、根抵当権者はa債権・b債権を貸し付けた

2⃣債務者は、「a債権1,000万円」を弁済しました。
そして、新たな「c債権1,500万円」が発生し、
現在、極度額の範囲内の「b債権1,200万円」「c債権1,500万円」があります。
根抵当権の解説図-2a債権が弁済され、極度額の範囲内で、新たなc債権が発生した

3⃣債務者は、「b債権1,200万円」を弁済しました。
そして、新たな「d債権 900万円」が発生し、
現在、極度額の範囲内の「c債権1,500万円」「d債権 900万円」があります。
根抵当権の解説図-3債務者はb債権を弁済し、新たにd債権が発生しました。

このように、極度額の範囲内で、継続的な取引により、複数の債権を、根抵当権で担保します。

そして、一定の条件により、根抵当権の元本は確定します。

元本が確定すると、新たな債権は発生しません。
確定後の根抵当権は、普通の抵当権と同じように、あとは返済するだけになります。

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02 抵当権消滅請求と根抵当権消滅請求の比較

・抵当権消滅請求
・根抵当権消滅請求
・・・についてを解説しています。

a.抵当権消滅請求

抵当権消滅請求-全抵当権が消滅する
・第三取得者から、全抵当権者に対して請求していきます。
・抵当権消滅請求をすると、全抵当権を消滅させることになります。
・全抵当権を消滅させることによって、第三取得者の所有権取得を確実にします。
・こうすることによって、抵当不動産の取引円滑・流通促進を図る制度です。

①全ての抵当権が消滅します。
②支払額は「承諾した金額」となります。

「抵当権消滅請求」で話に折り合いがつかなければ、競売手続に入ることになります。
これは、けっこう煩わしいことです。
だからこそ、「抵当権消滅請求」ができるのは「第三取得者」のみに限定されています。

抵当権消滅請求できるのは、第三取得者のみです。

b.根抵当権消滅請求

根抵当権消滅請求-優先弁済を受けられるのは、極度額の範囲内だけ。なので、「極度額相当額」を支払い根抵当権の消滅請求する。
・根抵当権者は「極度額の範囲内」で優先弁済があるだけです。
なので、極度額分を払い渡すことによって、所有権者等の利益を図る制度です。
・根抵当権消滅請求できるのは、「元本確定後の被担保債権の額」が「極度額」を上回ったときです。

※抵当権消滅請求のように、全ての抵当権が消滅するのではなく、対象となる根抵当権のみが、消滅します。
 
「根抵当権消滅請求」ができるのは、次の5者です。
   ・第三取得者
   ・対抗力ある賃借権者
   ・地上権者
   ・永小作権者
   ・物上保証人

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c.抵当権と根抵当権の請求権者の比較表

抵当権消滅請求と根抵当権消滅請求の請求権者(消滅を請求できる者)のまとめ表です。

  抵当権消滅請求 根抵当権消滅請求
①物上保証人 不可
②第三取得者(※)
 停止条件付の場合 不可 不可
③地上権者・永小作人 不可
④対抗力のある賃借人 不可
⑤債務者・保証人その他承継人

不 可

※そもそも債務者や保証人なんだから、(根)抵当権を消滅してくれ!とか言う前に、借金返せよって話

 

※「抵当不動産」の「共有持分を取得した者」は、抵当権消滅請求はできません。
※「譲渡担保権者」は譲渡担保権の実行して確定的に所有権を所得するまでは、抵当権消滅請求することはできません。
抵当権消滅請求-債務者・保証人・その他承継人は抵当権消滅請求できない。まずは、お金を返せ!

03 根抵当権消滅請求と極度額減額請求の比較

・根抵当権消滅請求
・極度額減額請求
・・・の比較をまとめています。

a.根抵当権消滅請求

根抵当権消滅請求-優先弁済を受けられるのは、極度額の範囲内だけ。なので、「極度額相当額」を支払い根抵当権の消滅請求する。
・根抵当権者は「極度額の範囲内」で優先弁済があるだけです。
なので、極度額分を払い渡すことによって、所有権者等の利益を図る制度です。
・根抵当権消滅請求できるのは、「元本確定後の被担保債権の額」が「極度額」を上回ったときです。

※抵当権消滅請求のように、全ての抵当権が消滅するのではなく、対象となる根抵当権のみが、消滅します。

 

「根抵当権消滅請求」ができるのは、次の5つです。
   ・第三取得者
   ・対抗力ある賃借権者
   ・地上権者
   ・永小作権者
   ・物上保証人

b.極度額減額請求

設定者からの極度額減額請求の図
設定者
設定者

コップの大きさ(極度額)は8,000万円ですが、
もうすでに被担保債権の額が7,800万円になって、そこまで使ってないんだから、
コップの大きさを小さく(極度額の減額)してもらえませんか。

・設定者から根抵当権者に対する請求です。
・極度額減額請求する場面としては、「被担保債権の額」が「極度額」を下回ったときに請求していきます。

c.根抵当権消滅請求と極度額減額請求の請求権者の比較表

根抵当権消滅請求と極度額減額請求の請求権者の比較まとめ表です。

  根抵当権消滅請求 極度額減額請求
請求権者 設定者 設定者
所有権を取得した者(第三取得者)
地上権者
永小作権者
第三者に対抗できる賃借権者
行使要件

「元本確定後」の「被担保債権の額」が「極度額」を上回る場合

被担保債権の額 > 極度額

「元本確定後」の「被担保債権の額」が「極度額」を下回る場合

被担保債権の額 < 極度額

 

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04 抵当権消滅請求と代価弁済の比較

・抵当権消滅請求
・代価弁済
・・・の比較をまとめています。

a.抵当権消滅請求

抵当権消滅請求-全抵当権が消滅する
・第三取得者から、全抵当権者に対して請求していきます。
・抵当権消滅請求をすると、全抵当権を消滅させることになります。
・全抵当権を消滅させることによって、第三取得者の所有権取得を確実にします。
・こうすることによって、抵当不動産の取引円滑・流通促進を図る制度です。
抵当権消滅請求できるのは、第三取得者のみです。

b.代価弁済

代価弁済-「抵当権者」の請求に応じて、抵当不動産の「所有権」or「地上権」を買い受けた者がその代価を弁済した時に抵当権が消滅する制度
・抵当権者から、「抵当不動産の所有権 or 地上権」を買い受けた者に対して、代価弁済してくれないかと働きかけます。
・抵当不動産の所有権者や地上権者は、その代価を弁済した時に抵当権が消滅する制度です。

c.抵当権消滅請求と代価弁済の請求権者の比較表

抵当権消滅請求と代価弁済の請求権者の比較まとめ表です。

  抵当権消滅請求 代価弁済
請求権者 第三取得者のみ
所有権 or 地上権を買い受けた者
※物上保証人は代価弁済 不可
支払額 第三取得者が決めた額 代価
※本来は売主に支払うべき売買代金 
効果 すべての抵当権が消滅する

その抵当権は消滅する
※他の抵当権は消滅しない

地上権の場合は、抵当権は消滅しないが、抵当権者に対抗できる地上権となる ※1

※1
この場合に、抵当権者は『地上権という負担付き不動産』に抵当権を持つことにはなります。
そして、抵当権が実行され、競売により「新たな買受人」が現れても、地上権者は、その「新たな買受人」にも対抗できることになります。

以上、抵当権消滅請求・根抵当権消滅請求・極度額減額請求・代価弁済についてでした。
お疲れ様でした~

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