仮登記の可否-POINTのみ抜粋
公開日 2019年2月14日 最終更新日 2020年10月9日
仮登記全般ではなく、仮登記の可否が特に問題となる迷いやすいケースのみを抜粋しました。
もくじ
1.保存・設定等
a.仮登記が可能なケース
①所有権保存の仮登記 ⇒仮登記を命ずる処分の決定書正本を提供 |
②一般先取特権保存の仮登記 |
③不動産保存の先取特権保存の仮登記 |
④「建物新築工事」以外の不動産工事の先取特権保存の仮登記 |
⑤買戻特約の仮登記 |
b.仮登記が不可なケース
①建物新築工事の先取特権保存の仮登記 ⇒新築工事の先取特権者より早く登記できる人はいない。 なので、仮登記で順位保全する意味がない。 |
②不動産売買の先取特権保存の仮登記 ⇒売買による所有権移転登記と同時に登記するので、売主名義になっている。 つまり、自分で自分に先取特権を入れることになってしまう。 |
③共同根抵当権設定仮登記 ⇒本登記で共同化するので |
2.移転
a.仮登記が可能なケース
①遺贈を原因とする所有権移転仮登記(1号仮) |
②離婚後の財産分与を原因とする所有権移転仮登記(1号仮) |
③譲渡担保を原因とする所有権移転仮登記(1号仮) |
④会社分割を原因とする所有権移転仮登記(1号仮) |
b.仮登記が不可なケース
①相続を原因とする所有権移転仮登記(1号仮) ⇒相続登記は単独申請なので、そもそも手続上の書類不備というのがない。 |
②相続を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) ⇒期待権にすぎず、法律上の請求権ではない。 |
③遺贈予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) ⇒期待権にすぎず、法律上の請求権ではない。 またこれを認めると被相続人の処分の自由を奪うことになる。 |
④離婚前の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) ⇒財産分与の予約は離婚の予約の一内容となり、公序良俗違反。 |
⑤譲渡担保を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) ⇒「譲渡担保予約」での所有権移転請求権仮登記(2号仮)はOK ⇒「譲渡担保」を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)はOK |
⑥「会社分割(新設分割)の予約」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) ⇒「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していない。 つまり物権変動はもちろん請求権も生じない。 |
⑦会社分割(新設分割)の登記を停止条件とする停止条件付所有権移転仮登記(2号仮) ⇒「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していない。 つまり物権変動はもちろん請求権も生じない。 |
⑧「真正な登記名義の回復」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮) |
3.変更
a.仮登記が可能なケース
①根抵当権の極度額変更の仮登記(1号仮登記) |
②根抵当権の極度額変更請求権の仮登記(2号仮登記) |
b.仮登記が不可なケース
①根抵当権の「債権の範囲」「債務者」「確定期日」の変更 ⇒元々、利害関係人が存在しないので、必要がない。 |
②順位変更の仮登記 ※ただし「順位変更の登記請求権」を保全するための「処分禁止の仮処分」と |
4.抹消
a.仮登記が可能なケース
①抹消の仮登記(1号仮登記) |
②抹消請求権の仮登記(2号仮登記) ex:◆「合意解除の予約」がなされている場合。 |
③抹消回復の仮登記(1号仮登記) ⇒手続上の条件が具備しない場合に仮登記できる。 ex:承諾を証する情報が提供できない場合 |
b.仮登記が不可なケース
①処分制限の仮登記 |

そもそも「処分禁止の仮処分」は隠密に進めることがほとんど
なのに、仮登記なんて入れちゃったら、義務者にバレちゃいますよね。