仮登記の可否-POINTのみ抜粋

仮登記全般ではなく、仮登記の可否が特に問題となる迷いやすいケースのみを抜粋しました。

1.保存・設定等

a.仮登記が可能なケース

①所有権保存の仮登記
 ⇒仮登記を命ずる処分の決定書正本を提供
②一般先取特権保存の仮登記
③不動産保存の先取特権保存の仮登記
④「建物新築工事」以外の不動産工事の先取特権保存の仮登記
⑤買戻特約の仮登記

b.仮登記が不可なケース

①建物新築工事の先取特権保存の仮登記
 ⇒新築工事の先取特権者より早く登記できる人はいない。
  なので、仮登記で順位保全する意味がない。
②不動産売買の先取特権保存の仮登記
 ⇒売買による所有権移転登記と同時に登記するので、売主名義になっている。
  つまり、自分で自分に
先取特権を入れることになってしまう。
③共同根抵当権設定仮登記
 ⇒本登記で共同化するので

2.移転

a.仮登記が可能なケース

①遺贈を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
②離婚後の財産分与を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
③譲渡担保を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
④会社分割を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)

b.仮登記が不可なケース

①相続を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
 ⇒相続登記は単独申請なので、そもそも手続上の書類不備というのがない。
②相続を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
 ⇒期待権にすぎず、法律上の請求権ではない。
③遺贈予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
 ⇒期待権にすぎず、法律上の請求権ではない。
  またこれを認めると被相続人の処分の自由を奪うことになる。
④離婚前の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
 ⇒財産分与の予約は離婚の予約の一内容となり、公序良俗違反。
⑤譲渡担保を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
 ⇒「譲渡担保予約」での所有権移転請求権仮登記(2号仮)はOK
 ⇒「譲渡担保」を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)はOK
⑥「会社分割(新設分割)の予約」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
 ⇒「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していない。
  つまり物権変動はもちろん請求権も生じない。
⑦会社分割(新設分割)の登記を停止条件とする停止条件付所有権移転仮登記(2号仮)
 ⇒「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していない。
  つまり物権変動はもちろん請求権も生じない。

⑧「真正な登記名義の回復」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
   令和2年pm23-ア 

3.変更

a.仮登記が可能なケース

①根抵当権の極度額変更の仮登記(1号仮登記)
②根抵当権の極度額変更請求権の仮登記(2号仮登記)

b.仮登記が不可なケース

①根抵当権の「債権の範囲」「債務者」「確定期日」の変更
 ⇒元々、利害関係人が存在しないので、必要がない。

②順位変更の仮登記
 ⇒順位変更は“本登記が効力要件″なので。

※ただし「順位変更の登記請求権」を保全するための「処分禁止の仮処分」と
 一体となった「順位変更の保全仮登記」は認められている。

4.抹消

a.仮登記が可能なケース

①抹消の仮登記(1号仮登記)

②抹消請求権の仮登記(2号仮登記)

ex:◆「合意解除の予約」がなされている場合。
  ◆一定金額を支払うことによって所有権が復帰する場合。
  ◆一定の期日までに金○○円を支払わないときは、登記原因たる売買
   が効力を失う旨の契約がなされた場合。
「抹消請求権仮登記」or「停止条件付抹消仮登記」

③抹消回復の仮登記(1号仮登記)
 ⇒手続上の条件が具備しない場合に仮登記できる。
  ex:承諾を証する情報が提供できない場合

b.仮登記が不可なケース

①処分制限の仮登記
⇒そもそも義務者の協力を想定していないので他の手続上の条件が具備しない場合も想定
 できないので、1号仮登記を認める実益ナシ

 
 

そもそも「処分禁止の仮処分」は隠密に進めることがほとんど
なのに、仮登記なんて入れちゃったら、義務者にバレちゃいますよね。