【2023年更新】仮登記の可否|できるorできないイラスト図解付きまとめ

仮登記の可否アイキャッチ 仮登記

今回の記事では、仮登記ができるかできないかについて、まとめています。

・保存・設定等の登記
 →比較のイラスト図解
・移転登記
 →比較のイラスト図解
・変更登記
・抹消登記
・・・についてと、暗記ツールとしてまとめ表のスクショ用画像を作成しました。
仮登記の全部ではなく、仮登記の可否が特に問題となる迷いやすいケースのみを厳選しています。

そもそも「仮登記」を入れる目的は、『順位保全』です。
登記の順位を、なるだけ早い順位で確保しておきたいからこそ、仮登記を入れておきます。

そして、1号仮登記は物権変動じたいは起こってはいるが、書類の不備という状態です。
 

01 保存・設定等の登記

保存登記と設定登記の、

・仮登記が可能な場合
・仮登記は不可な場合
・→比較のイラスト図解

・・・についてです。

a.仮登記が可能な場合

保存登記と設定登記の仮登記ができる場合のまとめ表です。

所有権保存の仮登記

※仮登記を命ずる処分の決定書正本を提供します。
一般先取特権保存の仮登記
不動産保存の先取特権保存の仮登記
「建物新築工事」以外の不動産工事の先取特権保存の仮登記
買戻特約の仮登記

b.仮登記が不可な場合

保存登記と設定登記の仮登記ができない場合のまとめ表です。

建物新築工事の先取特権保存の仮登記

新築工事の先取特権者より早く登記できる人はいません。
なので、仮登記で順位保全する意味がないです。
不動産売買の先取特権保存の仮登記

売買による所有権移転登記と同時に登記するので、売主名義になっている状態です。
つまり、自分で自分に先取特権を入れることになってしまいます。
共同根抵当権設定仮登記

共同根抵当は、仮登記では共同化できず、本登記を入れてはじめて共同化するので、仮登記は不可です。

c.比較のイラスト図解

【不動産工事の先取特権保存】
仮登記OK:「建物新築工事」以外の不動産工事の先取特権保存の仮登記
仮登記不可:建物新築工事の先取特権保存の仮登記
→新築工事の先取特権者より早く登記できる人はいません。なので、仮登記で順位保全する意味がないです。
の比較イラスト図解です。
「建物新築工事」以外の不動産工事の先取特権保存の仮登記は可
建物新築工事の先取特権保存の仮登記は不可
【不動産売買の先取特権保存】
仮登記不可:不動産売買の先取特権保存の仮登記
→「不動産売買の先取特権保存」登記は、売買による所有権移転登記と同時に登記するので、売主名義になっている状態です。つまり、自分で自分に先取特権を入れることになってしまいます。
不動産売買の先取特権保存の仮登記は不可

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02 移転登記

移転登記の、

・仮登記が可能な場合
・仮登記は不可な場合
・→比較のイラスト図解

・・・についてです。

a.仮登記が可能な場合

移転登記の仮登記ができる場合のまとめ表です。

遺贈を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
離婚後の財産分与を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
譲渡担保を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
会社分割を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)

b.仮登記が不可な場合

移転登記の仮登記ができない場合のまとめ表です。

相続を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)

相続登記は単独申請なので、そもそも手続上の書類不備というのがないので、仮登記は不可です。
相続を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

期待権にすぎず、法律上の請求権とは認められません。
遺贈予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

期待権にすぎず、法律上の請求権とは認められません。
また、これを認めると被相続人の処分の自由を奪うことになってしまいます。
離婚前の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

財産分与の予約は離婚の予約の一内容となり、公序良俗違反となります。
譲渡担保を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

「譲渡担保予約」での所有権移転請求権仮登記(2号仮)はOK
「譲渡担保」を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)はOK
「会社分割(新設分割)の予約」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していません。
つまり、物権変動はもちろん請求権も、まだ生じていません。
会社分割(新設分割)の登記を停止条件とする停止条件付所有権移転仮登記(2号仮)

「新設分割」は商業登記によって効力生じるので、登記以前は権利の主体すら存在していません。
つまり、物権変動はもちろん請求権も、まだ生じていません。
「真正な登記名義の回復」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)

※令和2年/午後の部/問23-肢ア 

 

c.比較のイラスト図解

【相続を原因】
仮登記不可:
・相続を原因とする所有権移転仮登記(1号仮登記)
→相続登記は単独申請なので、そもそも手続上の書類不備というのがないので、仮登記は不可です。
・相続を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮登記)
→期待権にすぎず、法律上の請求権とは認められません。
「相続」は、仮登記できない!と覚えてイイです。
仮登記の可否-相続の1号仮と2号仮はどちらも不可のイメージ図
【遺贈を原因】
仮登記OK:遺贈を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
仮登記不可:遺贈予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
→期待権にすぎず、法律上の請求権とは認められません。
また、これを認めると被相続人の処分の自由を奪うことになってしまいます。
仮登記の可否-遺贈の1号仮と2号仮の比較イメージ図
【離婚の財産分与】
仮登記OK:離婚後の財産分与を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
仮登記不可:離婚前の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
→財産分与の予約は離婚の予約の一内容となり、公序良俗違反となります。
仮登記OK:離婚後の財産分与を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)
仮登記不可:離婚前の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)
【譲渡担保】
仮登記OK:
 「譲渡担保」を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)はOK
 「譲渡担保予約」での所有権移転請求権仮登記(2号仮)はOK
仮登記不可:
 「譲渡担保」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)は不可
「譲渡担保予約」での所有権移転請求権仮登記(2号仮)と「譲渡担保」を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)は可、「譲渡担保」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)は不可
【会社分割】
仮登記OK:
 会社分割を原因とする所有権移転仮登記(1号仮)はOK
仮登記不可:
 「会社分割(新設分割)の予約」を原因とする所有権移転請求権仮登記(2号仮)は不可
 「会社分割(新設分割)」の登記を停止条件とする停止条件付所有権移転仮登記(2号仮)は不可
仮登記の可否-会社分割・新設分割

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03 変更登記

変更登記の、

・仮登記が可能な場合
・仮登記は不可な場合
・→比較のイラスト図解

・・・についてです。

a.仮登記が可能な場合

変更登記の仮登記ができる場合のまとめ表です。

根抵当権の極度額変更の仮登記(1号仮登記)
根抵当権の極度額変更請求権の仮登記(2号仮登記)

b.仮登記が不可な場合

変更登記の仮登記ができない場合のまとめ表です。

根抵当権の「債権の範囲」「債務者」「確定期日」の変更

元々、利害関係人が存在しないので、仮登記の必要がありません。
順位変更の仮登記

順位変更は“本登記”が効力要件″なので、仮登記はできません。

※ただし「順位変更の登記請求権」を保全するための「処分禁止の仮処分」と一体となった「順位変更の保全仮登記」は認められています。

c.比較のイラスト図解

【根抵当権】
仮登記OK:
 根抵当権の極度額変更の仮登記(1号仮登記)
 根抵当権の極度額変更請求権の仮登記(2号仮登記)
仮登記不可:
 根抵当権の「債権の範囲」「債務者」「確定期日」の変更
※元々、利害関係人が存在しないので、仮登記の必要がありません。
仮登記の可否-根抵当権関連のイメージ図

04 抹消登記

抹消登記の、

・仮登記が可能な場合
・仮登記は不可な場合

・・・についてです。

a.仮登記が可能な場合

抹消登記の仮登記ができる場合のまとめ表です。

抹消の仮登記(1号仮登記)
抹消請求権の仮登記(2号仮登記)

・「合意解除の予約」がなされている場合
・一定金額を支払うことによって所有権が復帰する場合
・一定の期日までに金○円を支払わないときは登記原因たる売買が効力を失う旨の契約がなされた場合

抹消請求権仮登記 or 停止条件付抹消仮登記
抹消回復の仮登記(1号仮登記)

手続上の条件が具備しない場合に仮登記できます。
例:承諾を証する情報が提供できない場合

b.仮登記が不可な場合

抹消登記の仮登記ができない場合です。

1 処分制限の仮登記

そもそも義務者の協力を想定していないので、他の手続上の条件が具備しない場合も想定できないので、1号仮登記を認める実益がないからです。

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05 暗記ツール-スクショ用画像

上記のまとめ表のスクショ用画像を作成しました。
暗記ツールとしてお役立てください。

 

仮登記の可否まとめ表

以上、仮登記の可否についてのまとめでした。お疲れ様でした。

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