訴訟の移送|要件・態様まとめ表,移送の決定に対する不服申立て,民事訴訟の管轄|事物管轄・土地管轄・専属管轄・専属的合意管轄まとめ

民事訴訟法-訴訟の移送,管轄まとめ 民事訴訟法

今回の記事は、

01 訴訟の移送
 a.移送の要件・態様
 b.移送の決定に対する不服申立て
02 民事訴訟の管轄
 a.事物管轄・土地管轄・専属管轄・専属的合意管轄まとめ表
 b.土地管轄
 c.専属管轄違反の場合の判決
・・・についてです。

01 訴訟の移送

訴訟の移送について、

・移送の要件・態様
・移送の決定に対する不服申立て
・・・をまとめています。

a.移送の要件・態様

訴訟の「移送の要件・態様」には、次の5つの場合があります。

・管轄違いによる移送
・公益目的の移送
・管轄簡易裁判所から地方裁判所への移送
・当事者の同意による移送
・不動産に関する訴訟の移送

移送の要件・態様をまとめた表が次のとおりです。

管轄違いによる移送

【原則】
申立て又は職権で移送します。

例:訴額140万円以下を地裁へ訴え提起した場合には、簡裁へ移送

【例外】
申立て or 職権で、地裁が自ら審理及び裁判することができます。

例:
①訴額140万円以下を地裁へ訴え提起する。
②裁判所が相当と認めるとき(但し、簡裁の専属管轄は除かれます)
③地裁が自ら審理及び裁判することができます。

公益目的の移送 第一審裁判所は管轄に属する場合でも、

・訴訟の著しい遅滞を避けるため
・当事者の衡平を図るため必要あると認めるとき

・・・は「申立て or 職権」で他の管轄裁判に移送することができます。
管轄簡易裁判所から、
地方裁判所への移送
簡易裁判所は管轄に属する場合でも、

相当と認めるときは「申立て or 職権」で、地方裁判所に移送することができます。
当事者の同意による移送 【他の土地管轄への移送】

第一審裁判所は、管轄に属する場合でも、
『申立て』及び『相手方の同意』があるときは、他の管轄の地裁or簡裁に移送しなければなりません。


(※これは、必要的移送です。)
【同一の土地管轄への移送】

・第一審裁判所は、管轄に属する場合でも、
『申立て』及び『相手方の同意』があるときは、同一管轄の地裁に移送しなければなりません。(※これは、必要的移送です。)

これは、弁論 or 申述後でも移送可能です。
不動産に関する訴訟の移送
    簡裁→地裁

簡易裁判所は管轄に属する場合でも、

不動産に関する訴訟につき、『被告の申立て』があるときは、
不動産所在地を管轄する地裁に移送しなければなりません。
(※これは、必要的移送です。)
・但し、被告が、弁論 or 申述した後の移送は不可です。

 

簡裁から「同一の土地管轄の地裁」への移送の場合には、「被告が本案について弁論」or「弁論準備手続での申述」をした後であっても、移送することができます。

「同一の土地管轄」での簡裁から地裁への移送が、かなり緩和されて移送OKとされてる理由は、簡易な裁判(簡裁)で審議するより、地方裁判所でするほうが、原告・被告の双方にとってイイよね!っていう理由からそうされてるのニャ。

b.移送の決定に対する不服申立て

「移送の決定」に対して、不服がある場合の申立ての方法についてまとめた表が次のとおりです。

  「移送の決定」に対する不服申立て 「移送申立て却下判決」に対する不服申立て
原 則 即時抗告

裁判の告知から1週間内
即時抗告

裁判の告知から1週間内
例 外 「反訴被告」の申立てによる
「簡裁から地裁への移送決定」には、

不服申立ては、できません。 
 

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02 民事訴訟の管轄

民事訴訟の「管轄」には、次の4つがあります。

・事物管轄
・土地管轄
・専属管轄
・専属的合意管轄

a.事物管轄・土地管轄・専属管轄・専属的合意管轄まとめ表

事物管轄・土地管轄・専属管轄・専属的合意管轄が、どういう分類の管轄なのかをまとめた表が次のとおりです。

事物管轄 第1審裁判所を「地方裁判所」か「簡易裁判所」のどちらにするかの定め
土地管轄 具体的にどの裁判所が事件を担当するかの定め
専属管轄 法律により管轄が定まっている場合です。

→つまり、当事者の合意によって管轄を定めることはできません。
専属的合意管轄 当事者の合意によって、特定の裁判所のみを管轄と決めることができます。

→例:訴額が140万円を超えるときでも、当事者間の合意で特定の裁判所のみを管轄と決めることができます。

 

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b.土地管轄

土地管轄についてまとめた表が次のとおりです。

原 則
被告の普通裁判籍の所在地





財産上の訴え 義務履行地
手形又は小切手による金銭の支払請求の訴え 手形・小切手の支払地
日本国内に住所がない者又は
住所が知れない者に対する財産上の訴え
・請求or担保の目的
・差押えできる被告の財産
・・・これらの所在地
事務所or営業所を有する者に対する訴えで
その事務所or営業所での業務に関するもの
事務所or営業所の所在地
不法行為に関する訴え 不法行為があった地
例)交通事故に基づく損害賠償請求の訴え
・加害者の住所地
・交通事故があった地
・被害者の住所地
不動産に関する訴え 不動産の所在地
登記or登録に関する訴え 登記or登録をすべき地
相続・遺留分・遺贈・死亡によって効力を
生ずる行為に関する訴え
相続開始時の『被相続人』の普通裁判籍
被相続人の死亡時の住所地

c.専属管轄違反の場合の判決

専属管轄の場合には、法律により管轄が定まっているわけですから、これに違反してなされた場合には、「控訴・上告理由」又は「再審事由」になります。

  控訴・上告理由 再審事由
専属管轄違反 ×
任意管轄違反 × ×

 

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