「仮差押解放金」と「仮処分解法金」図解
公開日 2020年8月26日 最終更新日 2020年8月27日
民事保全法の全体図
仮差押解放金
民事保全 | 将来の強制執行 に備えての保全 |
金銭債権の保全 ※仮差押解放金 a.仮差押え |
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非金銭債権の保全 b.係争物に関する仮処分 |
物引渡し請求の保全 占有移転禁止の仮処分 |
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登記請求権の保全 処分禁止の仮処分 |
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現在の危険・損害 に対する保全 c.仮の地位を定める仮処分 |
1.仮差押解放金のながれ(図解)
① | 執行債務者(乙)が「仮差押解放金」の供託を証明した |
② | 「執行裁判所」は、「仮差押の執行」を取消さなければならない |
③ | 「仮差押」の効力は、「仮差押債務者」の「取戻請求権」の上に移行する |
a. | 他の債権者もこの「取戻請求権」を差押・仮差押ができる |
b. | 「差押」と「仮差押」の競合が生じた場合は、供託官が供託義務を負い、 「執行裁判所」に「事情届」をする |
c. | 「仮差押」と「仮差押」の競合なら、供託官に供託義務はなく、 「執行裁判所」への「事情届」も不要となる |
d. | ただし、いずれかが本執行としての差押をした場合は 「事情届」が必要となってくる |
「仮差押解放金」が供託されても、「還付請求者」は存在しない ⇒ゆえに、「供託書」に |
2.仮差押債権者による執行
① | この供託で「仮差押債権者:甲」が「還付請求権」を取得するのではない。 ※元々、優先弁済を受ける権利は有していない |
② | 「仮差押債権者:甲」が供託金額から満足を得るためには、「本案訴訟の確定判決」を「債務名義」として、「本執行としての差押」が必要。 |
③ | その後、「取戻請求権」に「取立権」を行使して払渡請求できる。 |
・また、「転付命令」を得て、「払渡請求」をすることもできる | |
・いずれの場合にも、「取戻請求権を証する書面」として「供託原因消滅証明書」を添付する |
3.仮差押債務者による取戻
① | 「仮差押債権者:甲」が「本案訴訟」で敗訴し、仮差押の執行が効力を失った場合 |
② | 「供託者」である「債務者:乙」が、取戻できる |
③ | この場合、「取戻をする権利を有することを証する書面」として、 「保全執行裁判所」作成の「供託原因消滅証明書」を添付する ⇒「本案判決が確定したことを証する書面」がこれに当たる |
仮処分解放金
民事保全 | 将来の強制執行 に備えての保全 |
金銭債権の保全 a.仮差押え |
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非金銭債権の保全 b.係争物に関する仮処分 ※仮処分解放金 |
物引渡し請求の保全 占有移転禁止の仮処分 |
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登記請求権の保全 処分禁止の仮処分 |
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現在の危険・損害 に対する保全 c.仮の地位を定める仮処分 |
(1)一般型仮処分解放金
a.被保全債権
⇒「詐害行為取消権」以外の権利
① | 「執行債務者:乙」が「仮処分解放金」の供託を証明する | |||
② | 「執行裁判所」は、「仮処分の執行」を取消さなければならない | |||
③ | 仮処分の効力は「仮処分解放金」の上に存続する | |||
④
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ゆえに、「仮処分債務者:乙」は、解放金の取戻はできない | |||
「仮処分解放金」の場合は、「還付請求権者」が存在するため、
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b.還付請求
「仮処分債権者:甲」が、還付請求権を取得する