【2023.1更新】仮差押解放金と仮処分解放金のイラスト解説図とまとめ表

仮差押解放金・仮処分解放金 民事保全法

今回の記事では、民事保全法の「仮差押解放金」と「仮処分解放金」について、イラスト関係図を使ってわかりやすくまとめています。

01 民事保全法全体の中で、「仮差押」と「仮処分」はどういう位置づけなのか?(図解付き)
02 仮差押解放金
 a.仮差押解放金についてのまとめ表
 b.仮差押解放金のながれ(イラスト解説図付き)
 c.仮差押債権者による執行
 d.仮差押債務者による取戻
03 仮処分解放金
 a.仮処分解放金についてのまとめ表
 b.一般型仮処分解放金(詐害行為取消権以外の権利)

・・・という内容です。

01 民事保全法の全体のイメージ図

民事保全法の全体としては、次のようなイメージになります。

民事保全法の全体のイメージ

上記のイメージ図を、表にすると次のようになります。

民事保全法  仮差押  金銭債権保存
 仮処分  係争物に関する仮処分 金銭債権以外の保全
仮の地位を定める処分 争いある権利関係の暫定的措置
(金銭債権を含む)

このように、「仮差押」と「仮処分」は、このような位置づけになります。

 

民事保全法の中で、「仮差押」と「仮処分」の位置づけをしっかり確認し、混乱しないようにしてください。

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02 仮差押解放金

仮差押解放金について、

a.仮差押解放金についてのまとめ表
b.仮差押解放金のながれ(イラスト解説図付き)
c.仮差押債権者による執行
d.仮差押債務者による取戻し
・・・という内容です。

a.仮差押解放金についてのまとめ表

民事保全法全体を、訴訟関連での視点でまとめた表が次のとおりです。

民事保全 将来の強制執行
に備えての保全
金銭債権の保全   ※仮差押解放金
a.仮差押え
非金銭債権の保全
b.係争物に関する仮処分
物引渡し請求の保全
占有移転禁止の仮処分
登記請求権の保全
処分禁止の仮処分
現在の危険・損害
に対する保全
c.仮の地位を定める仮処分
 

b.仮差押解放金のながれ(イラスト解説図付き)

仮差押解放金は、次のような流れで進めることになります。

①執行債務者(乙)が「仮差押解放金」の供託を証明した
②「執行裁判所」は、「仮差押の執行」を取消さなければならない
③「仮差押」の効力は、「仮差押債務者」の「取戻請求権」の上に移行する

a.他の債権者もこの「取戻請求権」を差押・仮差押ができる
b.「差押」と「仮差押」の競合が生じた場合は、供託官が供託義務を負い、「執行裁判所」に「事情届」をする
c.「仮差押」と「仮差押」の競合なら、供託官に供託義務はなく、「執行裁判所」への「事情届」も不要となる
d.ただし、いずれかが本執行としての差押をした場合は「事情届」が必要となってくる
 
上記をイラスト関係図であらわすとこんなイメージです。
仮差押解放金のながれ解説図
仮差押解放金のながれ解説図02

「仮差押解放金」が供託されても、「還付請求者」は存在しません。
⇒なので、
 ・「被供託者」の記載不要
 ・「供託通知」も不要   ・・・となります。

c.仮差押債権者による執行

仮差押解放金のながれ解説図

上記のイラスト関係図に沿って、まとめています。

①この供託で「仮差押債権者:甲」が「還付請求権」を取得するのでは、ありません。
※元々、優先弁済を受ける権利は有していません。
②「仮差押債権者:甲」が供託金額から満足を得るためには、「本案訴訟の確定判決」を「債務名義」として、「本執行としての差押」が必要です。
 
仮差押解放金のながれ解説図02
③そしてその後、「取戻請求権」に「取立権」を行使して払渡請求できることになります。
※また、「転付命令」を得て、「払渡請求」をすることもできます。
※いずれの場合にも、「取戻請求権を証する書面」として「供託原因消滅証明書」を添付します。

d.仮差押債務者による取戻

仮差押債務者による取り戻しが可能となるのは、次の場合です。

「仮差押債権者:甲」が「本案訴訟」で敗訴し、仮差押の執行が効力を失った場合には、「供託者」である「債務者:乙」が、取戻しすることができます。

【取戻をする権利を有することを証する書面】
この場合、「取戻をする権利を有することを証する書面」として、「保全執行裁判所」作成の「供託原因消滅証明書」を添付することになります。
⇒「本案判決が確定したことを証する書面」がこれに当たります。

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03 仮処分解放金

仮処分解放金について、

a.仮処分解放金についてのまとめ表
b.一般型仮処分解放金(詐害行為取消権以外の権利)
・・・という内容です。

a.仮処分解放金についてのまとめ表

民事保全法全体を、訴訟関連での視点でまとめた表が次のとおりです。

民事保全 将来の強制執行
に備えての保全
金銭債権の保全   
a.仮差押え
非金銭債権の保全
b.係争物に関する仮処分
 ※仮処分解放金
物引渡し請求の保全
占有移転禁止の仮処分
登記請求権の保全
処分禁止の仮処分
現在の危険・損害
に対する保全
c.仮の地位を定める仮処分
 

b.一般型仮処分解放金(詐害行為取消権以外の権利)

一般型仮処分解放金は、被保全債権が「詐害行為取消権」以外の権利に関する仮処分解放金です。

これをイラスト関係図であらわすとこんなイメージです。

被保全債権が詐害行為取消権以外の仮処分解放金のイメージ図
①「執行債務者:乙」が「仮処分解放金」の供託を証明します。
②「執行裁判所」は、「仮処分の執行」を取消すことになります。
→ちなみに、仮処分の効力は「仮処分解放金」の上に存続することになります。
→なので、「仮処分債務者:乙」は、解放金の取戻はできなくなります。
※「仮処分解放金」の場合は、「還付請求権者」が存在するため、供託書の「被供託者欄」には、仮処分命令に掲げられた者を記載することになります。
 
一般型仮処分解放金 仮処分債権者
特殊型仮処分解放金 詐害行為の債務者

※「還付請求権」は、仮処分債権者が取得することになります。

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