今回の記事は、
・そもそも、動産譲渡担保ってどういうしくみなのか?
・動産譲渡担保に関する判例の解説
・動産譲渡担保に関する判例の解説
・・・など、イラスト図解付きで、わかりやすくまとめています。
01 動産譲渡担保とは?
動産譲渡担保について、イラスト図解でわかりやすく解説していきます。
1⃣Aから借金をしたBは、なにか抵当権のような担保権を設定しようということで、Bの「倉庫内のビール」に譲渡担保を設定しました。
2⃣倉庫内のビールは、同じビールがずっとそこに備蓄されているわけではなく、倉庫から出荷され、また新たに倉庫へビールが入ってくるの繰り返し状態になっています。
こんなふうに、通常の営業をしている限りは、倉庫内の動産は入れ代わりつつ、ある一定量の動産は、倉庫内にあるという状態になります。
こんなふうに、通常の営業をしている限りは、倉庫内の動産は入れ代わりつつ、ある一定量の動産は、倉庫内にあるという状態になります。
このように、「集合する動産(例:倉庫内のビール)」に、担保権を設定したものが、「集合動産譲渡担保」です。
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02 動産譲渡担保に関する重要判例
動産譲渡担保に関する重要判例を、あげています。
a.最決平11.5.17 売買代金債権への物上代位
譲渡担保権者は、設定者により売却された当該動産の「売買代金債権」に対し、譲渡担保権に基づき物上代位できます。
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b.最決平22.12.2 保険金請求権への物上代位
「構成部分の変動する集合動産」を目的とする譲渡担保権者は、目的物が滅失したことにより、設定者が取得した「保険金請求権」に物上代位行使できます。
保険金請求権への物上代位ができない場合
構成部分の変動する「集合動産」を目的とする「集合物譲渡担保契約」は、設定者が「目的動産を販売して営業を継続すること」を前提としています。
なので、設定者が ” 通常の営業を継続している ” 場合には、目的動産の滅失により、上記請求権が発生しても、譲渡担保権者は「保険金請求権」に物上代位行使はできません。
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c.最判昭35.2.11 通常の営業の範囲を超える売却処分
「構成部分の変動する集合動産」に譲渡担保が設定され、設定者が「通常の営業の範囲を超える売却処分」をした場合には、「譲渡担保権の目的である集合物」から離脱したと認められない限り、「処分の相手方(買主)」は所有権を取得できません。
この判例の買主は、『占有改定による引渡し』を受けたに過ぎませんでした。
なので、目的物は集合物から離脱していないとされ、買主は所有権を取得できません。
この判例の買主は、『占有改定による引渡し』を受けたに過ぎませんでした。
なので、目的物は集合物から離脱していないとされ、買主は所有権を取得できません。
これを、イラスト図解であらわすと次のようになります。
d.最判平8.11.22 清算金支払請求権と受戻権
設定者は、譲渡担保権者が「清算金の支払いをせず、清算金がない旨の通知もしない」間に、設定者の「受戻権」を放棄しても、譲渡担保権者に対し、清算金の支払いを請求はできません。
理由は、「清算金支払請求権」と「受戻権」は、あくまでも別個の権利だからです。
理由は、「清算金支払請求権」と「受戻権」は、あくまでも別個の権利だからです。
【清算金支払請求権とは?】
こちらの図解を参照して下さい → 『清算金支払請求権の図解』
こちらの図解を参照して下さい → 『清算金支払請求権の図解』
【受戻権とは?】
こちらの記事を参照して下さい → 『受戻権とは?』
こちらの記事を参照して下さい → 『受戻権とは?』
e.最判昭35.2.11 占有改定による引渡しは即時取得 不可
1⃣AのBに対する金銭債権担保のため、Bの動産甲に「譲渡担保」を設定しました。
・譲渡担保権者:A ・債務者兼設定者:B
・譲渡担保権者:A ・債務者兼設定者:B
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2⃣譲渡担保権者Aに対し、目的物である動産甲を、「占有改定による引渡し」をしました。
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3⃣債務者Bは、善意無過失のCに対し、動産を譲渡し、「占有改定による引渡し」をしました。
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4⃣しかし、「占有改定による引渡し」がされても「即時取得」はすることができません。
したがって、Cは動産甲の所有権を取得できません。
したがって、Cは動産甲の所有権を取得できません。
f.最判平6.2.22 弁済期後の譲渡担保権者による譲渡
1⃣BのAに対する金銭債権担保のため、Aの動産甲に「譲渡担保」を設定しました。
・譲渡担保権者:B ・債務者兼設定者:A
・譲渡担保権者:B ・債務者兼設定者:A
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2⃣譲渡担保権者Bに対し、動産甲の「現実の引渡し」をしました。
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3⃣弁済期が到来したのに、債務者兼設定者Aは、債務を弁済しませんでした。
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4⃣譲渡担保権者Bは、動産甲をCに譲渡し、「現実の引渡し」をしました。
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ここまでの時点になってしまうと、債務者Aは、今さら「債務を弁済して目的物を受け戻す」ことはできません。
第三者に、譲渡され現実の引渡しまでされた後は、債務者兼設定者Aの受戻権は消滅するということです。
第三者に、譲渡され現実の引渡しまでされた後は、債務者兼設定者Aの受戻権は消滅するということです。
以上、集合動産譲渡担保についてでした。お疲れ様でした。
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