動産譲渡担保

動産譲渡担保

最決平11.5.17 譲渡担保権に基づく物上代位行使

譲渡担保権者は、設定者により売却された当該動産の「売買代金債権」に
譲渡担保権に基づき物上代位できる

最決平22.12.2 集合動産/物上代位/通常の営業を継続

「構成部分の変動する集合動産」を目的とする譲渡担保権者は、目的物が滅失した
ことにより、設定者が取得した「保険金請求権」に物上代位行使できる

もっとも、「構成部分の変動する集合動産」を目的とする「集合物譲渡担保契約」は、
設定者が「目的動産を販売して営業を継続すること」を前提としているので、
設定者が「通常の営業を継続している場合」には、目的動産の滅失により、
上記請求権が発生しても、譲渡担保権者は「保険金請求権」に物上代位行使
できない

最判昭35.2.11 集合動産/範囲を超える売却/集合物から離脱したときのみ

「構成部分の変動する集合動産」に譲渡担保が設定され、
設定者が「通常の営業の範囲を超える売却処分」をした場合には、
「譲渡担保権の目的である集合物」から離脱したと認められない限り、
「処分の相手方(買主)」は所有権を取得できない

買主は「占有改定による引渡し」を受けたにすぎず
「目的物は集合物」から離脱していないので、買主は所有権を取得できない。

買主は、目的物を「占有改定」により「即時取得」できない

最判平8.11.22 清算金支払請求権と受戻権

設定者は、譲渡担保権者が「清算金の支払いをせず、清算金がない旨の通知もしない」間
に設定者の「受戻権」を放棄しても、譲渡担保権者に対し、清算金の支払いを請求できない。

「清算金支払請求権」と「受戻権」は、あくまでも別個の権利だから。

最判昭35.2.11 占有改定による引渡しは即時取得 不可

BのAに対する金銭債権担保のため、Aの動産甲に「譲渡担保」を
設定した。

 設定者:A
 譲渡担保権者:B

Bに対し、「占有改定による引渡し」をした
Aは、善意無過失のCに対し、動産を譲渡し、
「占有改定による引渡し」をした。

                  ▼ 

Aが動産甲に譲渡担保を設定したことにより、動産甲の所有権は
Bに移転する。
Aは無権利者である。
「無権利者であるA」から譲渡を受けたCは、原則として動産甲の所有権を
取得できないが、
動産甲を「即時取得」することができれば、Cはその所有権を取得し得る。
しかし、「占有改定による引渡し」がされても「即時取得」は
することができない
したがって、Cは動産甲の所有権を取得できない。

最判平6.2.22 弁済期後の譲渡担保権者による譲渡

BのAに対する金銭債権担保のため、Aの動産甲に「譲渡担保」を
設定した。

 設定者:A
 譲渡担保権者:B

Bに対し、「現実の引渡し」をした
Bの金銭債権の弁済期が到来したのに、
Aは債務を弁済しなかった
Bは動産甲をCに譲渡し、「現実の引渡し」をした。

             ▼

「設定者である債務者」は、ここまでの時点になってしまうと、
いまさら「債務を弁済して目的物を受け戻す」ことができない。

平成30年度第15問 集合動産譲渡担保

Aは、Bに対する貸金債権を担保するために、
Bから「構成部分の変動する集合動産」を目的とする譲渡担保
として、甲倉庫内にある全ての鋼材について
帰属清算型の譲渡担保権の設定を受けた
Aは「占有改定」の方法による引渡しを受けた。

譲渡担保権者:A
設定者:B

肢ア

Bは、「Aに対する譲渡担保権の設定」に先立ち、Cに対して、
甲倉庫内にある全ての鋼材を目的とする譲渡担保権を設定し、
「占有改定」の方法による引渡しをしていた。
Aはその事実を知らなかった。
BがAに対する貸金債務の弁済期を徒過した

                ▼

【解答】Aは、譲渡担保権を実行することができない。

Cは、Aよりも先に「占有改定による引渡し」という形で、「対抗要件」を備えている。
ところがAは、Cよりも後に対抗要件を備えたことになるので、Cには対抗できない。

肢イ 最判平18.7.20

Bは、通常の営業の一環として、Cに対して、甲倉庫内にある鋼材の一部
を売却し、Cの乙倉庫に搬入した。
そのときBは貸金債務の弁済期を徒過していた。

               ▼

「設定者」には、「通常の営業の範囲内」で「譲渡担保の目的を構成する動産」
を処分する権限が付与されている。
この権限内でされた処分の相手方(C)は、動産について
“ 譲渡担保の拘束を受けることなく ” 確定的に所有権を取得する。

肢ウ 「集合動産譲渡担保権」と「動産売買の先取特権」

甲倉庫内にある全ての鋼材は、BがCから買い受けたものだった。
Bはその代金をCに支払っていなかった。
Cが「動産売買の先取特権」に基づいて、「甲倉庫内にある鋼材」
の競売の申立てをしたとき

                 ▼

最判昭62.11.10
「動産売買の先取特権」が存在する動産が、
「譲渡担保権の目的である集合物の構成部分」

となった場合でも、
譲渡担保権者Aは既に「占有改定」の方法による
引渡しを受けている
なので、譲渡担保権者Aは引渡しを受けたものとして、
譲渡担保権を主張することができる

(動産の先取特権は、引渡しされてしまうと、及ばなくなるので)

先取特権者が先取特権に基づいて「動産競売の申立て」をしたとき
は、譲渡担保権者Aは、訴えをもって「動産競売の不許」を求める
ことができる

肢エ 最判昭61.7.15

譲渡担保権」によって担保されるべき「債権の範囲」は、設定契約の当事者間において
自由にこれを定めることができ、第三者との関係でも、
民法375条(抵当権の被担保債権の範囲)の規定に準ずる制約を受けない

肢オ 最判昭62.2.12

Bが貸金債務の弁済期を徒過した。
AはCに対して、甲倉庫内にある全ての鋼材を売却した。
Aは清算金の支払いをせず、清算金がない旨の通知もしてない
Bも債務の弁済をしていない

                ▼

譲渡担保権者Aが、第三者Cに売却等をしたその時点で、債務者Bは
「受戻権」ひいては「目的物の所有権」を終局的に失う。