【2023年更新】不動産の譲渡担保|清算金支払請求権・留置権・受戻権のイラスト図解付きまとめ

不動産の譲渡担保権-清算金支払請求権・留置権・受戻権図解付き譲渡担保

今回の記事は、

・譲渡担保のながれをイラスト図解
・清算金支払請求権とは?-イラスト図解付き
・譲渡担保での留置権とは?-イラスト図解付き
・受戻権とは?
・不動産の譲渡担保に関する各種判例-イラスト図解付き

・・・など、譲渡担保権について、わかりやすく解説しています。

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01 譲渡担保権のながれのわかりやすいイラスト図解

譲渡担保権のながれを、図解・イラスト解説図でわかりやすくまとめました。

【事例】

1⃣Aが、Bに1,000万円を貸付け、BはB所有の甲土地に、Aに対し譲渡担保権を設定しました。
譲渡担保権の図解-1 AはBに1,000万円を貸付け、Bより譲渡担保権の設定を受けた

2⃣債務者Bは、期限になっても借金の返済をせず、債務不履行をしました。
そこで、債権者Aは、譲渡担保権を実行しました。
譲渡担保権の図解-2 債務者Bが債務不履行したので、債権者Aは譲渡担保権を実行した

3⃣債権者Aは、清算金をBに支払いました。
そして、債務者Bは、Aに対して甲土地を引渡しました。
譲渡担保権の図解-3債権者Aは清算金を支払い、債務者Bは甲土地を引渡した。

不動産の譲渡担保権のながれについては、このような感じです。
ここから更に、くわしく解説しています。

02 清算金支払請求権とは?

【まずは、清算金とは?】

債務者の債務不履行により、譲渡担保権者が担保権を実行すると、「被担保債権額」と「譲渡担保権の目的の不動産の価額」との「差額」が発生します。

譲渡担保権者は、この「差額」を清算金として、債務者へ支払わなければなりません。
 
【清算金支払請求権とは?】
譲渡担保権者が、「差額」を清算金として、債務者へ支払わなければならないということで、ここで、債務者には「清算金支払請求権」が発生するというわけです。

清算金支払請求権の図解

「甲土地 3,000万円」「貸付金 1,000万円」その差額が「2,000万円」だった場合には、清算金は「2,000万円」です。
そして、債権者Aには、清算金2,000万円の支払い義務が発生し、
債務者Bには、清算金支払請求権が発生します。

清算金支払請求権とは?譲渡担保権者が、「差額」を清算金として支払い義務が発生し、債務者には「清算金支払請求権」が発生する

03 譲渡担保権における留置権-イラスト図解付き

譲渡担保権における債務者の留置権の図解
【譲渡担保権者側】
譲渡担保権者が譲渡担保権を実行すると、「被担保債権額」と「譲渡担保権の目的の不動産の価額」との「差額」が発生し、この「差額」を清算金として、債務者へ支払わなければなりません。
【債務者側】
債務者には「清算金支払請求権」が発生します。
しかし、債務者は「譲渡担保権の目的の不動産」は、譲渡担保権者に引渡さなければなりません。
ここで仮に、譲渡担保権者が「清算金」を支払わなければ、債務者は「譲渡担保権の目的の不動産」を留置することができます。
これが、譲渡担保権における留置権です。

留置権とは?

そもそも、留置権とは、

目的物を留置することにより、被担保債権の弁済を間接的に強制するものです。

なので、留置権を主張するためには、「目的物を留置すること」によって「被担保債権の弁済を促す」関係になければなりません。

04 受戻権とは?

【受戻権とは?】

譲渡担保の設定者が、債務の全額を弁済すれば、譲渡担保権を消滅させ、目的物の所有権を回復することができます。
これを、設定者の「受戻権」といいます。
いわば、債務不履行をしてしまった「譲渡担保の設定者」に対する、最後のチャンスを与える感じです。

05 不動産の譲渡担保に関する各種判例-イラスト図解付き

ここから、留置権・損害賠償請求権・清算金支払請求権に関する判例についてまとめてみました。

判例 最判平9.4.11 「清算金支払請求権」と「留置権」

不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、「譲渡担保権者」が譲渡担保権の実行として目的不動産を「第三者」に譲渡したときは、「譲渡担保権の設定者(債務者)」は、その「第三者」からの「明渡請求」に対し、「譲渡担保権者」に対する「清算金支払請求権」を被担保債権とする「留置権」を行使することができます。

ここから更にくわしくイラスト図解を使ってわかりやすくまとめました。

1⃣譲渡担保の、債務者兼設定者Bは、弁済をせず債務不履行しました。
譲渡担保権の判例1-債務者Bが債務不履行をした。

2⃣譲渡担保権者Aは、譲渡担保権の実行として、目的不動産をCに譲渡しました。
譲渡担保権の判例2-譲渡担保権者は目的不動産を第三者に譲渡した

3⃣ここで、債務者Bは、清算金支払請求権を取得しました。
譲渡担保権の判例3-債務者は清算金支払請求権を取得した

4⃣譲受人Cは、債務者Bに対し、甲土地の明渡しを請求しました。
譲渡担保権の判例4-譲受人は債務者に対し、目的不動産の明渡し請求をした

5⃣債務者Bは、「清算金支払請求権」を被担保債権として、第三者であるCに対しても、留置権を行使することができます。
譲渡担保権の判例-5 債務者は「清算金支払請求権」を被担保債権として、留置権を行使した

このように、設定者(債務者)は、譲渡担保権者に対する「清算金支払請求権」を被担保債権として、第三者に対しても、留置権を行使することができます。

留置権は、物権なので、” 牽連関係 ” が認められる限り、誰に対しても主張することができます。

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最判昭34.9.3 「損害賠償請求権」と「留置権」

1⃣Aは、Bに対する貸金債権の担保として、B所有の甲土地に譲渡担保の設定を受けました。
そして所有権移転登記を備えました。

2⃣Aが設定契約の内容に反して、甲土地をCに売却し、所有権移転登記をしてしまいました。

3⃣Bは、譲受人Cから明渡請求を受けました。

4⃣債務者Bは、譲渡担保権者Aに対して取得した「担保物返還義務不履行」による「損害賠償請求権」をもって、留置権を主張しました。

⇒Bは、譲受人Cからの明渡請求に対し、「留置権」を主張することはできません。
理由としては、「損害賠償請求権」と「担保不動産」との間に ” 牽連関係 ” が認められないからです。

最判平18.10.20

この判例でのポイントは、

設定者(債務者)は、” 差押え登記後 ” に債務の全額を弁済しても、「第三者異議の訴え」による「強制執行の不許」を求めることはできません。
・・・ということです。

なぜなら、「被担保債権の弁済期後」は、設定者としては『目的不動産が換価処分されること』を受任する立場にあります。

「譲渡担保権者の債権者による ” 目的不動産の強制競売による換価 ” 」も、「譲渡担保権者による ” 目的不動産の換価処分 ” 」と同様に、受任すべきだからです。

目的不動産を差押えた「譲渡担保権者の債権者」との関係では、差押え後の「受戻権行使による目的不動産の所有権の回復」を主張することができなくても、やむを得ないということです。

ここから更にくわしく図解・イラスト解説図を使ってわかりやすくまとめました。

1⃣Aは、Bに対する貸金債権の担保として、B所有の甲土地に譲渡担保の設定を受けました。
そして所有権移転登記を備えました。
譲渡担保権に関する判例-2-1 譲渡担保権者Aは所有権移転登記を備えた

2⃣貸金債権の弁済期が到来しましたが、Bは債務を弁済しませんでした。
譲渡担保権に関する判例-2-1 債務者は債務不履行をした

3⃣Aの債権者Cが、甲土地を差押え、その旨の登記がなされました。
譲渡担保権に関する判例-2-1 譲渡担保権者の債権者が、目的不動産を差押え登記を備えた

4⃣その後、設定者(債務者)Bは、債務を全額弁済しました。
その上で、「 ” 第三者異議の訴え ” による ” 強制執行の不許 ” 」を求めました。
譲渡担保権に関する判例-2-4 設定者(債務者)は、第三者異議による強制執行の不許可を求めた

設定者(債務者)は、” 差押え登記後 ” に債務の全額を弁済しても、「第三者異議の訴え」による「強制執行の不許」を求めることはできません。
譲渡担保権に関する判例-2-5 設定者(債務者)は、換価処分されることを受任すべき立場にある

このように、設定者(債務者)は、たとえ「被担保債権の弁済期後」に弁済したとしても、もうすでに、目的不動産の換価処分を受任すべき立場になっているので、第三者異議の訴えによる強制執行の不許可は認められません。

これがもし、「被担保債権の弁済期前」だったら・・・

設定者が「弁済期までに債務の全額を弁済し、目的不動産を受け戻した」ときは、
設定者は「第三者異議の訴え」による「強制執行の不許」を求めることができたニャ。

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