【2023年更新】仮登記された権利の移転|イラスト図解付きで1号・2号仮登記の移転の申請順序,本登記の利害関係人等をわかりやすく解説

仮登記された権利の移転-1号・2号仮登記の移転の申請順序 仮登記

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今回の記事は、

01 所有権に関する仮登記の移転
 ・1号仮登記の移転の申請順序
 ・2号仮登記の移転の申請順序
 ・本登記の際、仮登記の後に所有権移転されてる場合
 ・「所有権仮登記の本登記」の利害関係人
02 所有権以外の権利の仮登記
・・・についてをまとめた記事です。

01 所有権に関する仮登記の移転

ここでは、

・1号仮登記の移転の申請順序
・2号仮登記の移転の申請順序
・本登記の際、仮登記の後に所有権移転されてる場合
・所有権仮登記の本登記の利害関係人
についてを、事例と登記記録形式をあわせて、わかりやすくまとめてみました。

1号仮登記の移転の申請順序

1号仮登記の移転には、

・1号仮登記の確定的移転
・1号仮登記の仮定的移転
・・・があります。

1号仮登記の確定的移転

【事例】
下記のような登記記録の状態のときに、本登記を入れていく順序は次のようになります。

所有権移転 A


所有権移転仮登記 1号仮  B
余 白


2番仮登記所有権移転の仮登記  1号仮+ 1号仮   C
余 白

①まずは、「2番仮登記の本登記」をいれる➡権利者B/義務者A
②次に、「3番仮登記の本登記」をいれる➡権利者C/義務者B
所有権移転 A


所有権移転仮登記 1号仮  B
①まずは、「2番仮登記の本登記」をいれる
     権利者B/義務者A


2番仮登記所有権移転の仮登記  1号仮+ 1号仮   C
②次に、「3番仮登記の本登記」をいれる
     権利者C/義務者B
基本的に1号仮登記は「物権変動」自体は既に起こっているので、上から順番に登記していきます。

1号仮登記の仮定的移転

1号仮登記の確定的移転と同様に、登記順に上から順番に登記していきます。

2号仮登記の移転の申請順序

2号仮登記の移転には、

・2号仮登記の確定的移転
・2号仮登記の仮定的移転
・・・があります。

2号仮登記の確定的移転

【事例】

・甲区2番で 所有権移転請求権仮登記(2号仮登記)Bが入っています。
・甲区2番付記で 所有権移転請求権の移転(2号仮登記の確定的な移転)Cが入っています。
所有権移転  A



付記1
所有権移転請求権仮登記   2号仮   B
余 白
2番所有権移転請求権の移転   2号仮 『確定な移転』

①2番仮登記の本登記を入れるとき、権利者はCとなります。
  権利者 C / 義務者 A
所有権移転  A



付記1
所有権移転請求権仮登記   2号仮   B
「2番仮登記の本登記」を入れる
    権利者C/義務者A
2番所有権移転請求権の移転   2号仮 『確定な移転』
「2番所有権移転請求権の移転」で、BからCへの ” 確定的な移転 ” がなされているので、もうBは出てきません。

 

2号仮登記の仮定的移転

【事例】

・甲区2番で、所有権移転請求権仮登記(2号仮登記)Bが入っています。
・甲区2番付記1で、2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記(2号仮+2号仮)Cが入っています。
所有権移転  A


付記1
所有権移転請求権仮登記   2号仮    B
余 白
2番所有権移転請求権の
移転請求権仮登記      2号仮+ 2号仮   C
余 白

①まずは、「2番付記1号の仮登記の本登記」を入れます ➡ 権利者C/義務者B
※「予約の予約」を「単なる予約」としてしまいます。

②次に、「2番仮登記の本登記」を入れます ➡ 権利者C/義務者A
※つまり、最終的にCが権利者となります。
所有権移転  A


付記1
所有権移転請求権仮登記   2号仮    B
②次に、「2番仮登記の本登記」を入れます
    権利者C/義務者A
2番所有権移転請求権の
移転請求権仮登記      2号仮+ 2号仮   C
①まずは、「2番付記1号の仮登記の本登記」を入れます
      権利者C/義務者B
2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記  2号仮+2号仮  が入っている場合は、
まずは、この付記から入れ、「予約の予約」を「単なる予約」にしてしまうことから始めます。
 
もしも「2番仮登記の本登記」を先に入れてしまうと「権利者B/義務者A」となります。
この場合には、Cは利害関係人となってしまいます。
イメージでいうとこんな感じです。▼
Cさん
Cさん

俺ちゃんと、2号仮登記の2号仮登記入れとったやろー!
おまえが先に登記入れてしもたせいで、所有権取得できひんようなってもたやないかい!

Bさん
Bさん

つい、先に登記しちゃったんすよ~

Cさん
Cさん

俺の「甲区2番付記1号」の2号仮登記の2号仮登記は抹消されるから、俺は、利害関係人になるからな!

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本登記の際、仮登記の後に所有権移転されてる場合

【事例】

・まずは、甲区2番で所有権移転請求権仮登記 Bが入っています。
・その仮登記後に、甲区3番で所有権移転 Cが登記しました。
所有権移転  A


所有権移転請求権仮登記  B
余 白
所有権移転  C
上記の事例の場合に、甲区2番仮登記の本登記を入れるときは、次の2つのパターンに分かれます。
 
・原因が、売買で特定承継された場合
・原因が、相続で一般承継された場合

原因が、売買で特定承継された場合

①権利者B/義務者Aとして「2番仮登記」の本登記を入れます。
・Cは、「利害関係を有する第三者」となります。
所有権移転  A


所有権移転請求権仮登記  B
①「2番仮登記」の本登記を入れます→権利者B/義務者A
所有権移転  C (←利害関係を有する第三者)
仮登記の本登記までに、「仮登記の後に所有権移転登記」がされている場合に、
原因が売買での特定承継されているときは、その「仮登記後の所有権者」は利害関係人となります。

原因が、相続で一般承継された場合

①権利者B/義務者Cとして「2番仮登記」の本登記を入れます。
※Aは亡くなってもういないので、相続人Cが代わって義務者となります。
所有権移転  A


所有権移転請求権仮登記  B
①「2番仮登記」の本登記を入れます→権利者B/義務者C
所有権移転  C (←亡Aの相続人として義務者となる)
仮登記の本登記までに、「仮登記の後に所有権移転登記」がされている場合に、
原因が相続での一般承継されているときは、その「仮登記後の所有権者」は新・義務者となります。
※元々の所有権者は亡くなっているので、相続人が代わって義務者となるということです。

「所有権仮登記の本登記」の利害関係人

所有権仮登記の本登記を入れるときの利害関係人として次の2つの場合があります。

・仮登記より後の差押登記
・仮登記前の「所有権以外の権利」の仮登記後の移転

仮登記より後の差押登記

【事例】

下記のような順番で登記が入っていった場合です。

①所有権保存 A
②抵当権設定 C
③所有権移転仮登記  B
④差押え  1番抵当権者 C
上記の事例を、登記記録であらわすと次のようになります。
甲 区 乙 区
所有権保存  A    抵当権設定  C   


所有権移転仮登記  B    
 1号仮 
   
余 白
差押え   C   
この場合には、差押権者C承諾を証する情報が必要となります。
 

仮登記前の「所有権以外の権利」の仮登記後の移転

【事例】

下記のような順番で登記が入っていった場合です。

①所有権保存 A
②抵当権設定 C
③所有権移転仮登記  B
④1番抵当権移転  D
上記の事例を、登記記録であらわすと次のようになります。
甲 区 乙 区
所有権保存  A   ①

付記1
抵当権設定  C   ②



所有権移転仮登記  B  ③
 1号仮 
1番抵当権移転  D   ④
     
抵当権移転の権利者Dは、利害関係人ではありません。
※抵当権の移転は、「付記」で入るからです。

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02 所有権以外の権利の仮登記

所有権以外の権利の仮登記の例として、「抵当権の仮登記」についての解説です。

「抵当権の仮登記」つまり ” 乙区での仮登記 ” がなされた後に、所有権移転が入り、所有権者が変わった場合の「義務者」や「利害関係人」はだれになるのか?についてを登記記録形式でわかりやすくまとめてみました。

「抵当権の仮登記」の後の所有権移転

【事例】

下記のような登記が入っていた場合です。

①所有権保存 A
②抵当権設定仮登記 B
③所有権移転 C
上記の事例を、登記記録であらわすと次のようになります。
甲 区 乙 区
所有権保存  A    抵当権設定仮登記 B  
所有権移転 C       
「乙区1番の抵当権の仮登記」の本登記を入れる際の義務者は、A・CのどちらでもOKです
・権利者B / 義務者A
・権利者B / 義務者C
所有権以外の権利の仮登記(例:抵当権の仮登記)の本登記の際の義務者は、
「元々の所有権者」でも「現・所有権者」でもOK!
なお、義務者Aの場合でも「Cの承諾書」は不要です。
 

Cさんは利害関係人ではないニャ
だって、Cさんが所有権の登記をした時点では、既に抵当権設定仮登記は入っていたニャ。

つまり、抵当権が入っていたことは、わかってたでしょってことニャ。

なので、抵当権設定仮登記の本登記が入っても、Cさんの所有権は抹消されず、ただ、抵当権付きの所有権になるだけニャ。

以上、仮登記された権利の移転-1号仮登記,2号仮登記の移転の申請順や、仮登記の本登記の利害関係人についてのまとめ記事でした。お疲れ様でした。

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