【2023年更新】担保仮登記|イラスト図解付きの清算金,清算期間,清算金供託,後順位担保権者の物上代位による差押えまとめ

担保仮登記のアイキャッチ画像担保権仮登記

今回の記事は、

01 担保仮登記とは?
02 担保仮登記のながれ
03 担保仮登記をする場合の「後順位担保権者」との利害関係
 清算金・物上代位による差押え
04 受戻し

・・・について、わかりやすくまとめています。

01 担保仮登記とは?

金銭債務を担保するために、債権者が「債務者or物上保証人」の不動産に、

・所有権移転請求権仮登記
・条件付所有権移転仮登記
・・・を入れておき、債務者に債務不履行があった場合には、その債務を回収する代わりに、債権者が「仮登記の本登記」をし、不動産の所有権を取得するという内容の契約のことです。

担保仮登記をイメージ図であらわすとこんな感じです。▼
担保仮登記の解説図-債務者は貸付けを受け、担保がわりに、債権者に所有権移転請求権仮登記を登記させる
担保仮登記をかんたんに言ってしまうと、「仮登記」を「担保権」のように利用するものです。

a.担保仮登記をもっと具体的に

担保仮登記の解説図-担保がわりに、所有権移転請求権仮登記を入れておく

担保仮登記の具体例としては、次の3つです。

・所有権移転請求権仮登記  原因日付: 年 月 日 代物弁済予約
・条件付所有権移転仮登記  原因日付: 年 月 日 代物弁済(条件 年月日金銭消費貸借の債務不履行)
・所有権移転請求権仮登記  原因日付: 年 月 日 売買予約
上記のように「仮登記」をしておいて、債務不履行があったときに、「担保権」のように利用します。

02 担保仮登記のながれ

下記のような事例を想定しています。

①仮登記担保契約 
②仮登記申請 
③債務不履行 
④清算金見積額の通知・到達○年3月11日に通知し、3月12日に到達した。
 清算期間満了2か月経過 5月12日
⑤所有権移転/原因日付翌日      5月13日
⑥清算金供託○年5月20日
⑦本登記申請可能な日1か月経過後 ○年6月21日

上記事例での、担保仮登記のながれを図にあらわすとこんなイメージになります。

担保仮登記のながれの図
【④清算金見積額の通知・到達】
仮登記担保権者が、仮登記担保権を実行した場合、
・清算金の見積額 又は
・清算金がない旨
・・・を債務者に通知しなければなりません。
【清算期間満了】
清算期間は、2ヶ月です。
【⑤所有権移転の原因日付】
所有権移転の原因日付となるのは、清算期間満了の翌日となります。
翌日に、所有権が仮登記担保権者に移転することになります。
※このように、仮登記に基づく本登記の登記原因日付は、清算期間の満了日の翌日となるので、「仮登記の原因日付」から少なくとも『2か月の期間経過後の日』であることを要することになります。
 
【担保仮登記でない場合】
登記原因が「代物弁済予約」での所有権移転請求権仮登記であったとしても、「担保仮登記」ではない場合には、
非金銭債権を担保することを証する情報」を添付すれば、2か月以内でも「本登記」が可能となります。

a.清算金とは?

清算金とは-取得した不動産の価額が回収すべき債権額を超えるときは、その差額を『清算金』として返す

「取得した不動産の価額」が「回収すべき債権額」を超えるときは、その差額を『清算金』として債権者から債務者(or物上保証人)に返すことになります。

つまり、

「取得した不動産の価額」と「回収すべき債権額」の「差額」が、清算金の額ということになります。

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03 担保仮登記をする場合の「後順位担保権者」との利害関係

担保仮登記をする場合に、

・後順位担保権者がいない場合
・後順位担保権者がいる場合
 a.後順位担保権者の承諾が得られた場合
 b.後順位担保権者が「清算金」に物上代位による差押えをしている場合
・・・についてをまとめています。

a.後順位担保権者がいない場合

担保仮登記-後順位担保権者がいない場合の解説図

後順位担保権者がいない場合には、債権者は「清算金」を債務者に提供し、「仮登記の本登記」を申請することができます。

「清算金の提供」と「本登記の申請」は同時履行の関係に立ちます。

b.後順位担保権者がいる場合

担保仮登記-後順位担保権者がいる場合の解説図

後順位担保権者がいる場合には、2つのケースにわかれます。

Ⅰ.後順位担保権者の承諾を得られた場合
Ⅱ.後順位担保権者が「清算金」に物上代位による差押えをしている場合

Ⅰ.後順位担保権者の承諾を得られた場合

仮登記権利者は「後順位担保権者の承諾を証する情報」を添付し、仮登記の本登記を申請をすることができます。

Ⅱ.本登記をする旨の通知を受けた後順位担保権者の取り得る方法

担保仮登記-後順位担保権者のとりうる2つの方法

仮登記担保の本登記をする旨の通知を受けた「後順位担保権者」の取り得る方法としては、次の2つの方法があります。

①物上代位による清算金の差押え
②競売申立
①物上代位による清算金の差押え

後順位担保権者が、清算金に物上代位による差押えをしている場合には、次のようなストーリーとなります。

1.仮登記権利者は、「取得した不動産の価額」が「回収すべき債権額」を超えるときは、その差額を『清算金』として仮登記義務者(債務者等)に返さなければなりません。
清算金とは-取得した不動産の価額が回収すべき債権額を超えるときは、その差額を『清算金』として返す
2.しかし、後順位担保権者が、清算金に物上代位による差押えをした場合には、仮登記権利者(清算金における第三債務者)は、仮登記義務者(清算金における債権者)への弁済が禁止されます。
後順位担保権者が、清算金に物上代位による差押えをした場合には、仮登記権利者(清算金における第三債務者)は、仮登記義務者(清算金における債権者)への弁済が禁止される
3.ちなみに、「仮登記権利者の清算金支払い義務」と「仮登記義務者の登記申請義務」は同時履行の関係にあります。
「仮登記権利者の清算金支払い義務」と「仮登記義務者の登記申請義務」は同時履行の関係に立つ
4.ところが、「後順位担保権者から差押え」がされているので、弁済が禁じられています。
「仮登記義務者」への清算金の弁済ができない状態ということは、登記申請もしてもらえません。
(上記にあるように、同時履行の関係に立つからです。)

「仮登記権利者」としては「仮登記義務者の同時履行の抗弁権」を奪うためには、供託をするしかなくなります。

→そこで、「仮登記権利者」は清算金を供託することになります。
担保仮登記-弁済が禁じられている「仮登記権利者」としては「仮登記義務者の同時履行の抗弁権」を奪うためには、供託をする
5.「後順位担保権者」としては、『清算金を差押えた』ということは、
『清算金の支払い』→『仮登記の本登記』→『自分の担保権の消滅』というながれを承諾したことになります。
6.「供託日」から1か月間、「後順位担保権者」からの「競売申立」がない場合には、「仮登記権利者」は「後順位担保権者の承諾を証する情報」に代えて、次の2つの書面により、仮登記の本登記を申請できます。

・債権者が、清算金を供託したことを証する書面(例:供託書正本)
・「後順位担保権者」が、物上代位により清算金を差押えたことを証する書面(例:差押命令正本)
供託日から1か月間、後順位担保権者からの競売申立がない場合には、供託書正本と差押命令正本で仮登記の本登記を申請できる
【なぜ、供託日から1か月経過しないと本登記の申請ができないのかの理由】

物上代位による差押えをした「後順位担保権者」は、清算金の供託がされる前ならば、『競売申立の方法に切り替える』ことができます。

もし「切り替え」がされたなら、「清算金の供託を差押える」という方法は使えなくなります。
そして、「切り替え」がされないことを「登記官が確信できる」のは、通常「供託日から1か月後」とされているので、供託日から1ヶ月経過後とされています。
②競売申立

後順位担保権者からの競売申し立てがあった場合には、競売手続きへとなります。

04 受戻し

受戻しとは、債務者等が行使できる権利です。

債務者等は、仮登記担保権者から「清算金支払い債務の弁済」を受けるまでは、「債権等の額に相当する金銭」を提供し、「不動産の所有権の受戻し」を請求することができます。

受戻権の行使により、仮登記担保の目的物の所有権は、仮登記義務者(仮登記担保権設定者)に移転します。

受戻しは、かんたんに言ってしまえば、債務者等が目的物の所有権を取り戻す
” 最後のチャンス ”だニャ。

a.受戻権を行使できない場合

次の場合には、債務者等は受戻権を行使できなくなります。

①仮登記担保権者から「清算金支払債務」の弁済を受けている場合
②清算期間が経過した時から5年が経過している場合
③第三者が不動産の所有権を取得し、移転登記がなされた場合

b.受戻権を行使した場合の登記申請書

債務者等が、受戻権を行使した場合の登記申請書は次のようになります。

 担保仮登記に基づく本登記
がなされていない場合
担保仮登記に基づく本登記
が既にされている場合
登記の種類担保仮登記の抹消所有権移転
登記原因 年 月 日 受戻しによる失効 年 月 日 受戻し
原因日付意思表示到達日意思表示到達日
登録免許税不動産1個につき1,000円不動産の価額 1000分の20


【「受戻し」を原因とする所有権移転登記を申請する場合の注意点】

登記記録上の仮登記義務者の氏名・住所が、権利者(=仮登記義務者)と異なる場合は、「変更を証する情報」を提供しなければなりません。

理由は、仮登記義務者は現に効力を有する登記名義人ではないため、名変登記ができないからです。
仮登記義務者(担保仮登記の設定者)が死亡した後、その相続人が仮登記権利者に受戻しの意思表示をした場合には、「一般承継のあったことを証する情報」を提供して、直接、相続人名義に、『所有権移転 原因:受戻し』登記を申請することができます。

以上、担保仮登記に関する、

01 担保仮登記とは?
02 担保仮登記のながれ
03 担保仮登記をする場合の「後順位担保権者」との利害関係
 清算金・物上代位による差押え
04 受戻し
・・・についてでした。お疲れ様でした。

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