【2023.1更新】組織再編の申請関連-経由同時申請,登記の事由,申請人,添付書類,申請書例のまとめ

組織再編の申請書関連まとめアイキャッチ 組織再編の登記事項

今回の記事は、次のような内容となっています。

01 そもそも組織再編とは?
→合併,会社分割,株式交換,株式移転,事業譲渡の概要
02 申請する方法-どこをどう経由するのか?
03 吸収合併・会社分割・株式交換について、
・登記の事由
・添付書面
・申請するのは誰か?・・・以上3つのまとめ表
 a.消滅会社等の添付書類の詳細
 b.存続会社等の添付書類の詳細
  ・登録免許税率と証明書の名称まとめ表
04 吸収型組織再編の登記申請例まとめ表
 a.株式交換で新株予約権がある場合の申請例

01 そもそも組織再編とは?

組織再編とは、会社が、合併・会社分割・株式交換・株式移転や事業譲渡することをいいます。
さらにくわしくまとめた表は次のとおりです。

合併 吸収合併 吸収合併とは、
・一方の会社の法人格のみを残し、他方の会社の法人格を消滅させます
・合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させます。
新設合併 新設合併とは、
・すべての会社の法人格を消滅させます。
・その上で、新たに設立する会社に権利義務を承継させます。
会社分割 吸収分割 吸収分割とは、
・その権利義務の全部または一部を分割します。
・そして、包括的に既存の他の法人に承継させます。
新設分割 新設分割とは、
・その権利義務の全部または一部を分割します。
・それにより、新たに設立する法人に承継させます。
株式交換
株式移転
株式交換 株式交換とは、
・完全子会社となる会社の発行済株式のすべてを、
・完全親会社となる会社(既存の他の法人)に取得させます。
こうして、完全な親・子会社の関係を作り出す手法です。
株式移転 株式移転とは、
・完全子会社となる会社の発行済株式のすべてを、
・完全親会社となる会社(新たに設立する法人)に取得させます。
こうして、完全な親・子会社の関係を作り出す手法です。
事業譲渡   事業譲渡とは、
・会社(譲渡会社)が事業の全部または一部を、
・他の会社(譲り受け会社)に譲渡することをいいます。
※合併や会社分割との大きな違いは、事業譲渡は「契約」です。

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02 申請する方法-どこをどう経由するのか?

組織再編のときの申請方法は、経由同時申請 します。

同時に、『存続(設立)会社』の本店所在地の登記所を “ 経由 “して申請していきます。

また、本店所在地の登記所が異なる場合には、
⇒「消滅会社等の登記事項証明書」添付 or 「消滅会社等の会社法人等番号を記載」していきます。

『存続(設立)会社』の本店所在地の登記所を経由することのイメージ図は次のような感じです。
組織再編のときの申請方法-経由同時申請する

同じ「経由同時申請」でも、管轄外への本店移転の場合では、旧所在地管轄側を経由し、新所在地分と、同時申請していきます。

 

経由同時申請Ⅱ管轄外への本店移転

03 登記の事由・添付書面・申請人まとめ表

吸収合併・会社分割(吸収分割)・株式交換での、

・登記の事由
・添付書面
・申請人
・・・をまとめた表は次のようになります。
 



吸収合併
存続会社
吸収合併による変更 (下記を参照) 存続会社の「変更登記」も
消滅会社の「解散登記」も
存続会社等の代表者が申請。
吸収合併
消滅会社
吸収合併により解散 【添付書類】なし



吸収分割
承継会社
吸収分割による変更 (下記bを参照) 各当事会社の代表者が申請
吸収分割
分割会社
吸収分割による変更 ①委任状
代理人によって申請する場合の委任状を除き、添付書類は不要
各当事会社の代表者が申請



株式交換
完全親会社
株式交換 (下記bを参照) 各当事会社の代表者が申請
株式交換
完全子会社
(登記不要)
(※1)
①委任状
代理人によって申請する場合の委任状を除き、添付書類は不要
各当事会社の代表者が申請

※1 新株予約権に変更が生じたときに限り変更登記
   ⇒ 年月日 株式交換契約 新株予約権 消滅

a.消滅会社等の添付書類

消滅会社等の添付書類をまとめた表は次のようになります。

  どんな登記? 添付書類
同一管轄
他管轄
消滅会社の解散登記 一切不要
組織変更による解散登記 一切不要
同一管轄 分割会社の変更登記 ・委任状
代理人によって申請する場合の委任状を除き、添付書面は不要
完全子会社の変更登記

b.存続会社等の添付書類

存続会社等の添付書類をまとめた表は次のようになります。




存続会社

・吸収合併契約書 1通
・資本金の額の計上に関する証明書 1通
・株主総会議事録 2通
・株主リスト 2通
・公告及び催告したことを証する書面 4通
 異議を述べた債権者はいない
・登録免許税法施行規則第12条第5項の規定に関する証明書
・登記事項証明書 添付省略(会社法人等番号)
・委任状 1通

・株券提供公告したことを証する書面1通




承継会社

・吸収分割契約書 1通
・資本金の額の計上に関する証明書 1通
・株主総会議事録 2通
・株主リスト 2通
・公告及び催告したことを証する書面 4通
 異議を述べた債権者はいない
・登記事項証明書 添付省略(会社法人等番号)
・委任状 1通




完全親会社

・株式交換契約書 1通
・資本金の額の計上に関する証明書 1通
・株主総会議事録2通
・株主リスト2通
・登記事項証明書 添付省略(会社法人等番号)
・委任状 1通

・株券提供公告したことを証する書面1通

※(債権者保護に関して)

「株式交換」では、「株主が変動する」に過ぎないので原則として債権者保護は不要です。
ただし、新株予約権付社債がある場合の「社債権者」に対して債権者保護が必要となります。
 

登録免許税法施行規則に関する証明書

組織変更 登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書 1.5/1000
吸収合併 登録免許税法施行規則第12条第5項の規定に関する証明書 1.5/1000
新設合併 登録免許税法施行規則第12条第3項の規定に関する証明書 1.5/1000
吸収分割新設分割株式交換株式移転は、会社が存在し続けるので不 要

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04 吸収型組織再編の登記申請例まとめ表

組織再編には、「吸収型組織再編」と「新設型組織再編」があります。

【吸収型組織再編】
・吸収合併 ・吸収分割 ・株式交換

【新設型組織再編】
・新設合併 ・新設分割 ・株式移転
この中の、「吸収型組織再編」の登記申請書例をまとめた表は次のようになります。
 



存続会社 吸収合併による変更

 年 月 日
(消滅の本店)株式会社Yを合併

発行済株式の総数 ○○株
資本金の額 金○○円

消滅会社 吸収合併により解散  年 月 日
(存続の本店)の株式会社Zに合併して、解散



承継会社 吸収分割による変更

 年 月 日
(分割の本店)株式会社Yから分割

発行済株式の総数 ○○株
資本金の額 金○○円

分割会社 吸収分割による変更  年 月 日
(承継の本店)の株式会社Zに分割



完全親 株式交換

 年 月 日変更

発行済株式の総数 ○○株 
資本金の額 金○○円

完全子 (原則:登記不要)※1

※1 株式交換では、原則的には登記申請は不要ですが、ただ、『新株予約権がある場合』のみ違ってきます。
この後、株式交換で新株予約権がある場合の申請について、まとめた表は次の見出しを見て下さい。

a.株式交換で新株予約権がある場合の申請例

株式交換は、「事業の変動」は伴わず「株主が変動する」に過ぎないので、原則として、「完全子会社」においては登記の事由とはなりません。

ただし、
「完全子会社の新株予約権者」に対して「完全親会社の新株予約権」を交付する場合には、

・「完全子会社」では新株予約権の登記事項が消滅します
・そして、「完全親会社」では新株予約権の登記事項が発生することになります。
・・・このように、例外的に双方の本店での登記事由となります。
「完全子会社の新株予約権の消滅」による変更登記は、「完全親会社」の管轄登記所を経由し、2つの登記申請は同時申請しなければなりません。
このときの、申請書内容をまとめた表は、次のようになります。
 



完全親 株式交換

 年 月 日変更

発行済株式の総数 ○○株 
資本金の額 金○○円
新株予約権に関する事項

完全子 株式交換  年 月 日 株式交換契約 新株予約権 消滅

以上、今回の記事は、

01 そもそも組織再編とは?
02 申請する方法-どこをどう経由するのか?
03 登記の事由・添付書面・申請人まとめ表
04 吸収型組織再編の登記申請例まとめ表
についての記事でした。お疲れ様でした。
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