【2023年更新】農地法の許可とは?イラスト図解付き,農地法の許可が必要か?不要か?まとめ

農地法の許可 農地法の許可

今回の記事は、農地法の許可(農地法の許可を証する情報)について、

01 農地法の許可とは?
 a.「農地法第3条」許可
 b.「農地法第4条」許可
 c.「農地法第5条」許可
02 農地法の許可は、効力要件「不動産登記令7条1項5号ハ」
03 農地法の許可が、必要か?不要か?
 a.所有権に関する農地法の許可
  →「共有物分割」と「共有物の持分放棄」の比較イメージ図
  →所有権に関する農地法の許可まとめ表のスクショ用画像
 b.所有権以外の権利に関する農地法の許可
・・・というよう構成で、イラスト図解付きでわかりやすくまとめています

01 農地法の許可とは?

農地は、国民にとっても、国にとっても、なくてはならない大切な資源です。

国全体の農業生産を守り、国民に安定した「国産の食料供給」をするためにも、また、農業者の権利を守るためにも「農地法の許可制度」が定められています。

具体的には、例えば、Aさんという個人の所有地であっても、「農地」である限り、無許可で耕作以外の用途に転用することはできないというような規制です。

そして、「農地法の許可」には、次の3つがあります。

a.「農地法第3条」許可
b.「農地法第4条」許可
c.「農地法第5条」許可

a.「農地法第3条」許可

農地法3条の許可イメージ図

農地法第3条の許可は、農地を農地のまま、売買・賃貸する場合の許可です。
その「農地の所有権」を新しく取得する人が、きちんと農業として耕作してくれるかどうかが、許可の判断基準となります。

b.「農地法第4条」許可

農地法第4条の許可イメージ図

農地法4条の許可は、「農地の所有者」が自身のために、農地を農地以外の目的で利用する「農地の転用」を規制するための許可です。

例えば、Aさんは自分の「農地」を、地目を変更し、地目を「宅地」にして、家を建てたりする場合に、必要となる許可です。

c.「農地法第5条」許可

農地法第5条の許可イメージ図

農地法5条の許可は、農地を農地以外の目的で利用する「農地の転用」を前提とした「売買」をする場合に、それを規制するための許可です。

例えば、Aさんは自分の「農地」を、Bさんに売買しますが、「農地の所有権」を新しく取得するBさんは、地目を変更し、地目を「宅地」にすることを前提としている場合です。

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02 農地法の許可は、効力要件「不動産登記令7条1項5号ハ」

農地法の許可を証する情報は、「不動産登記令7条1項5号ハ」に当たります。

この「不動産登記令7条1項5号ハ」は次のような特徴があります。

①実体上、「農地法の許可」は、 “ 効力要件 ” となっています。
②「農地法の許可を証する情報」は、” 効力の発生を証するため ” に要求されます。
③「農地法の許可を証する情報」は提供できなけれ、申請は却下されます。
④効力要件ですから、例えば、売買契約の後に許可が到達したのであれば、「許可書の到達日」が原因日付となります。「契約成立日」ではありません。

④をイメージ図であらわすとこんな感じです。▼
農地法の許可は、登記原因日付に影響が出てくる

03 農地法の許可が、必要か?不要か?

ここでは、農地法の許可の中でも「農地法第3条の許可」についてです。

a.所有権に関する農地法の許可
 →スクショ用画像
b.買戻権の行使
c.死因贈与
d.共有物の持分放棄
e.共有物分割
f.所有権以外の権利に関する農地法の許可

a.所有権に関する農地法の許可

所有権に関する農地法の許可を、必要か不要かを比較・まとめた表が次のとおりです。

  必 要 不 要


  相続
  包括遺贈
特定遺贈/受遺者が相続人以外の場合 特定遺贈/受遺者が相続人の場合
死因贈与   ※死因贈与は契約だから  
遺産分割による贈与
※遺産分割きっかけの単なる贈与
遺産分割
  特別縁故者への財産分与 ※裁判所がらみ
共同相続人以外への相続分の贈与 共同相続人間の相続分の贈与
離婚 協議による財産分与 裁判・調停による財産分与 ※裁判所がらみ


共有物分割(※下のイメージ図参照) 共有物の持分放棄(※下のイメージ図参照)
共有物分割による贈与  
  合意解除  法定解除
買戻権の行使 
※留保解除権の行使の性質あり。合意解除に準ずる
 
前登記名義人以外への真名回復 前登記名義人への真名回復
  他の相続人への真正な登記名義の回復




民法第646条第2項による移転  
  権利能力なき社団の代表者の変更
※主体は変わっていない
  時効取得
  土地収用法による収容
  農業協同組合への信託 ※なんたって農協!
  会社分割 ※なんたって法人
抹消 合意解除 法定解除
   錯 誤 
更正 A名義をA・B名義に更正 相続を原因とする
A名義をA・B名義に更正
  持分の更正
  登記原因の更正

「共有物分割」と「共有物の持分放棄」の比較イメージ図

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所有権に関する農地法の許可まとめ表のスクショ用画像

上記、所有権に関する農地法の許可まとめ表のスクショ用画像を作成しました。
暗記ツールとして、お役立てください。

b.所有権以外の権利に関する農地法の許可

所有権以外の権利に関する農地法の許可についてまとめた表は、次のとおりです。

  必 要 不 要


  (根)抵当権設定
使用収益しない旨の定めのない不動産質権設定
※使用収益する不動産質権
使用収益しない旨の定めのある不動産質権設定

 



地上権設定  
地上権移転  
永小作権設定  
永小作権移転  
賃借権設定  
賃借権移転  
「農地の地下に工作物を設置することを目的」の
区分地上権設定
 
「農地の地下に工作物を設置することを目的」の
地役権設定
 
「農地である一筆の土地全部」に通行地役権設定 送電線の敷設を目的とする地役権設定

所有権以外の権利に関する農地法の許可まとめた表のスクショ用画像

上記、所有権以外の権利に関する農地法の許可まとめ表のスクショ用画像を作成しました。
暗記ツールとして、お役立てください。

以上、

01 農地法の許可とは?
02 農地法の許可は、効力要件「不動産登記令7条1項5号ハ」
03 農地法の許可が、必要か?不要か?
 a.所有権に関する農地法の許可
 b.所有権以外の権利に関する農地法の許可
・・・についてでした。お疲れ様でした。
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