根抵当権移転(根抵当権の全部譲渡)
公開日 2017年4月22日 最終更新日 2021年6月12日
根抵当権の全部譲渡
1.A銀行が田中太郎より根抵当権の設定を受けていた。
2.A銀行からB銀行に対し、根抵当権の全部譲渡をした。
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3.A銀行の田中太郎に対する「A債権・B債権」はもう根抵当権では
担保されなくなり、無担保債権となる。
4.今後は、B銀行の「これから取得する債権」「これまでに取得していた債権」
「C債権・D債権」が担保されることになる。
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利害関係人の承諾
「設定者:田中太郎」の承諾が効力要件→日付に影響あり!
⇒「根抵当権者」の変更を望まない「設定者」の利益を保護するため
共同根抵当権の場合
◆共同根抵当権の場合には、全ての不動産に登記しなければ効力を生じない。
元本確定前
◆全部譲渡は元本確定前でなければできない。
⇒「登記原因」の日付が「確定前」であっても、「元本確定後」に申請する全部譲渡
の登記は受理されない。
「申請まで含めて確定前でなければならない!」
理 由
「根抵当権の全部譲渡」の効果としては、これまでのA銀行の「A債権・B債権」から
B銀行の「C債権・D債権」が担保されることになるということから、
「担保される債権」が変わってくる。
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これは、「債権の範囲」の変更と同じ。
「債権の範囲」は『根抵当権の3要素』なので、登記が効力要件。
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「合意」と登記まで含めて「確定前」になされてなければならない!
申請書
1.A銀行が田中太郎より根抵当権の設定を受けていた。
1 | 所有権保存 田中太郎 |
1 | 根抵当権設定 金3000万円 株式会社 A銀行 |
2.A銀行からB銀行に対し、根抵当権の全部譲渡をした。
登記の目的 | 1番 根抵当権 移転 |
原因・日付 | 平成○○年○月○日 譲渡 |
登記事項 | なし |
申請人の氏名 及び名称 |
権利者 (住 所) 義務者 (住 所) |
添付情報 |
・登記原因証明情報 ・登記識別情報 ・承諾証明情報 ・会社法人等番号 ・代理権限証明情報 |
課税価格 | 金3000万円 (←全部譲渡されたので極度額を取っていく) |
登録免許税 | 金6万円 (←2/1000) |
3.1番根抵当権が、A銀行からB銀行へ移転した。
原因日付
「合意の日」か「設定者の承諾」かいずれか遅い日を取っていく。
⇒設定者の承諾が効力要件なので、日付に影響あり!ということ。
設定者の承諾書:効力要件「日付に影響あり!」→不動産登記令7条1項5号ハ
登記の実行
「所有権以外の移転」なので、『付記登記』