【2023年1月更新】承諾を証する情報まとめ&登記原因証明情報

承諾書・登記原因証明情報

今回は、『承諾を証する情報』についてをまとめた記事です。
それから、『登記原因証明情報』が不要な場合も、まとめてみました。

『承諾を証する情報』には、次の3種類があります。

・不動産登記令7条1項5号ハ
・66条の承諾書
・68条の承諾書
これら3つについて、くわしく解説しています。
さらに、『登記原因証明情報』が不要な場合も、まとめてみました。

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不動産登記令7条1項5号ハ

実体上、この承諾書・許可書が “ 効力要件 ” となっています。
つまり、” 効力の発生を証するため ” に要求されます。

01 常に提供が必要となる

提供できなければ、申請は却下されます。

02 原則的に、原因日付に影響あり

代表的な例:農地法の許可
原因日付に影響が出てくる」ものの代表的な例としては、『農地法の許可』です。

例えば売買契約の後に、許可が到達したのであれば、「許可書の到達日」が原因日付となります。
「契約成立日」ではありません。

これを、画像でわかりやすく解説すると、こんな感じです▼

このように、原因日付に影響が出てきます

不動産登記令7条1項5号ハ >原因日付に影響あるもの

「不動産登記令7条1項5号ハ」の承諾を証する情報の中で、原因日付に影響が出てくるものは次の通りです。

1 農地法の許可
2 区分地上権設定で、
 ・その設定前から利用権を有する者(ex:地上権者)
 ・その使用収益権を目的とする権利を有する者(ex:その地上権に抵当権を有する者)
・・・の承諾
3 根抵当権の「全部」「分割」「一部譲渡」に対する設定者の承諾
4 ◆抵当権の順位変更(ex:順位が下がる者の「転抵当権者」)
◆根抵当権の極度額変更(ex:極度額増額の際の後順位の担保権者)
◆根抵当権の分割譲渡に対する転抵当権者
  (分割された根抵当権に対しては、転抵当の効力は及ばないので)
・・・の利害関係人の承諾
5 根抵当権の共有者の権利移転のときの「他の共有者」の同意
6 「工場財団に属する不動産」を目的とする「賃借権設定」に対する「抵当権者」の同意
7 「工場財団目録」の記載事項の変更登記に対する「抵当権者」の同意
8 不在者財産管理人の処分行為に対する「家庭裁判所の許可」
9 相続財産管理人の処分行為に対する「家庭裁判所の許可」
10 破産管財人の処分行為に対する「裁判所の許可」
11 成年被後見人の「住居用の不動産」を処分する場合の
(売買のみならず、賃貸借、賃貸借の解除、抵当権設定)「家庭裁判所の許可」
12 ex:職務代行者(会社法)が、登記義務者として、贈与を原因に所有権移転登記を申請する場合の「裁判所の許可」
ex:ある取締役が業務停止を受けてその間の日常の業務を行うのが『職務代行者』であるが、
非常務を行うとなると、裁判所の許可が必要
13 「賃借権の先順位抵当権に優先する同意」の登記での、
・先順位抵当権者の同意
・先順位抵当を目的とする権利者(eg:転抵当権者)の承諾
14 権利能力なき社団「地縁団体」の「法人格取得の認可」

不動産登記令7条1項5号ハ >原因日付に影響しないもの

同じ「不動産登記令7条1項5号ハ」の承諾を証する情報でも、” 原因日付に影響は無いもの ” も、あります。

これらは、

・この「承諾を証する情報」が無ければ、申請は却下にはなる
・だが、この承諾情報が揃った日が「原因日付」となるわけではない
・原因日付となるのは、「契約日」となる
・・・と、このように、承諾を証する情報が無ければ、申請は却下されるものの、承諾情報を提供できれば、原因日付は、元々の「契約日」となります。
つまり、原因日付に影響は無いものです。
1 未成年者に対する親権者の同意
2 被保佐人に対する保佐人の同意
被補助人に対する補助人の同意
又は、家庭裁判所の許可
3 会社の利益相反のところで、「取締役会議事録」「株主総会議事録」等
4 賃借人による「賃借権の譲渡」or「転貸」に対する「賃貸人」の承諾
5 敷地権付区分建物の所有権保存に関する敷地権者の承諾

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66条の承諾書

「66条の承諾書」は、任意的なもので、無くても申請が却下されるものでなく、無くても効力は発生し、原因日付にも影響はありません。

・「66条の承諾書」は、任意的なもの
・「66条の承諾書」が無くても、申請は却下されるわけではない
 (無くても効力が発生する)
・原因日付に影響はない

共有物分割禁止の定め
・持分上の抵当権者の承諾書

例えば、「共有物分割禁止の定め」の変更登記をする場合に、
・承諾を得ることができた場合 → 付記登記(※つまり順位保全できる)
・承諾を得られなかった場合 → 主登記(※つまり、順位保全できず、順位は下位の登記となる)

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68条の承諾書

「68条の承諾書」は、無ければ申請は却下されます。
つまり、「68条の承諾書」は、常に必要です。
ですが、原因日付に影響はなく、原因日付は「契約日」です。

・所有権の更正登記
・所有権の抹消登記
 

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登記原因証明情報が不要な場合

原則的に、「登記原因証明情報」は、必ず必要です。
ただ、下記の「3つの例外」の場合には、登記原因証明情報の提供は不要です。

覚え方としては、「登記原因証明情報の提供が不要な3つの例外」のみ覚えておき、これら3つの例外以外は、必ず提供しなければならないと覚えていきます。

所有権保存登記
※敷地権付区分建物の74条2項保存は除く
処分禁止の登記(仮処分)に後れる登記の抹消
混同で登記記録上、権利消滅が明らかな場合
※抵当権者が所有権を取得して、その「所有権移転登記」が入っている場合、混同が生じていることは登記記録から明らかなので、それ以上に登記官に証明する必要がない

 

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