根抵当権移転(根抵当権の全部譲渡)

根抵当権の全部譲渡 根抵当権移転

このブログ記事に沿った動画を作成しました。是非、youtubeでご視聴下さい。よろしくお願いします。

根抵当権は、元本確定前のみ、全部譲渡,一部譲渡,分割譲渡をすることができます。

【元本確定前の根抵当権のみ可能な根抵当権の移転】
・根抵当権の全部譲渡
・根抵当権の一部譲渡
・根抵当権の分割譲渡
この記事では、この中の『根抵当権の全部譲渡』についての解説を画像を使ってわかりやすく解説しています。
 
【根抵当権の全部譲渡POINT】

◆元本確定前にのみできる登記です
◆根抵当権を全部譲渡すると、「元の根抵当権者」は無担保債権者になります。
今後は「譲受人の新・根抵当権者」の債権が根抵当権で担保されることになります。
この根抵当権の全部譲渡について、イラスト付きでわかりやすく解説していきます。

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根抵当権の全部譲渡

【根抵当権の全部譲渡についての事例】

1.A銀行が田中太郎より根抵当権の設定を受けていた。
2.A銀行からB銀行に対し、根抵当権の全部譲渡をした。

3.A銀行の田中太郎に対する「A債権・B債権」はもう根抵当権では担保されなくなり、「無担保債権」となる。
4.今後は、B銀行の「これから取得する債権」「これまでに取得していた債権」「C債権・D債権」が担保されることになる。
【POINT】
01 根抵当権の全部譲渡がされると、元々の「被担保債権」は無担保債権になります。
02 根抵当権の全部譲渡を受けた側(B銀行)は、
 ・これから取得する債権
 ・これまでに取得していた債権
 ・C債権・D債権
・・・が、根抵当権で担保されることになります。

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利害関係人の承諾

根抵当権の全部譲渡での「設定者」としては、自分の不動産に根抵当権を設定していて、いつの間にか勝手に「根抵当権者」が変わっていたとなっては、なんとなく気が悪いです。

 

そんな ” 根抵当権者の変更を望まない設定者 ” の利益を保護するため「設定者の承諾」は効力要件です。


「効力要件」ということは、設定者の承諾を得られなければ、効力が発生しないということです。
→つまり、「契約日」と「設定者の承諾日」がずれていれば、原因日付は「設定者の承諾日」を書いていかなければなりません。

このように、「設定者の承諾」は、「日付に影響が出てくる」ことになります。

・「設定者の承諾」は効力要件!
・「設定者の承諾」は原因日付に影響あり!

共同根抵当権の場合の登記について

共同根抵当権の場合には、全ての不動産に登記しなければ効力を生じません。

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元本確定前

根抵当権の全部譲渡は元本確定前にしか、登記できません。
元本が確定した後には、登記できなくなります。

・登記原因の日付が「確定前」であっても、「元本確定後」に申請する全部譲渡の登記は受理されません。
・申請まで含めて確定前でなければなりません。

 

【理由】
「根抵当権の全部譲渡」の効果としては、これまでのA銀行の「A債権・B債権」からB銀行の「C債権・D債権」が担保されることになるということから、「担保される債権」が変わってきます。

これは、つまり「債権の範囲」の変更と同じと捉えることができます。

そして「債権の範囲」『根抵当権の3要素』なので、登記が効力要件です。

だから、「合意」と登記まで含めて「確定前」になされてなければならないわけです。

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申請書の具体例

【事例】

①A銀行が田中太郎より根抵当権の設定を受けていた。
②A銀行からB銀行に対し、根抵当権の全部譲渡をした。
③1番根抵当権が、A銀行からB銀行へ移転した。
 
登記の目的 1番 根抵当権 移転
原因・日付 令和○○年○月○日 譲渡
登記事項 なし
申請人の氏名
及び名称

権利者   (住所)

      株式会社 B銀行
      (会社法人等番号 ◯◯◯◯)

義務者   (住 所)
      株式会社 A銀行
      (会社法人等番号 ◯◯◯◯)

添付情報

・登記原因証明情報

・登記識別情報
 (株式会社A銀行の乙区1番の登記識別情報)

・承諾証明情報
 (設定者 田中太郎の承諾書)

・会社法人等番号

・代理権限証明情報

課税価格

金3000万円 
(※全部譲渡されたので極度額を取っていく)

登録免許税 金6万円   (←2/1000)

原因日付

「合意の日」か「設定者の承諾」かいずれか遅い日を取っていきます。
 ⇒「設定者の承諾」が効力要件なので、「日付に影響が出てくる」ということです。

設定者の承諾書効力要件「日付に影響あり!」不動産登記令7条1項5号ハ

登記の実行

「所有権以外の移転」なので、『付記登記』で実行されます。

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