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抵当権の処分系には、次の3つの似通ったものがあります。
1.抵当権の処分
Ⅰ.抵当権(のみ)の譲渡
Ⅱ.抵当権(のみ)の放棄
2.抵当権(のみ)の順位譲渡
抵当権(のみ)の順位放棄
3.抵当権の移転
Ⅰ.抵当権(のみ)の譲渡
Ⅱ.抵当権(のみ)の放棄
2.抵当権(のみ)の順位譲渡
抵当権(のみ)の順位放棄
3.抵当権の移転
今回の記事では、この中の『Ⅰ.抵当権(のみ)の譲渡』についてをイラスト関係図を使って、わかりやすく解説していきます。
※今回の記事は「抵当権の譲渡」に関するものですが、混乱しやすいのが「(根)抵当権の移転」です。この「抵当権の譲渡」と「(根)抵当権の移転」の違いを知りたい方は、下記のリンクから「根抵当権の全部移転」を参照してみてください。
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01 抵当権のみの譲渡
【抵当権(のみ)の譲渡とは?】
例えば、第1順位の抵当権者が、「債務者を同じくする一般債権者」に対し、順位を譲ってあげることです。
順位を譲ってもらった一般債権者は、本来なら「第1順位の抵当権者」が受けるべき「配当金」プラス「一般債権者」が受ける「配当金」の合計額の範囲内で、優先弁済権を確保することができます。
例えば、第1順位の抵当権者が、「債務者を同じくする一般債権者」に対し、順位を譲ってあげることです。
順位を譲ってもらった一般債権者は、本来なら「第1順位の抵当権者」が受けるべき「配当金」プラス「一般債権者」が受ける「配当金」の合計額の範囲内で、優先弁済権を確保することができます。
上記の内容をここから更にくわしく、登記記録例やイラスト関係図などで解説しています。
a.抵当権のみの譲渡と抵当権の移転の違い
【抵当権のみの譲渡と抵当権の移転との違いとは?】
例えば「債権譲渡による抵当権の移転」では被担保債権と抵当権が移転します。他方、この「抵当権のみの譲渡」では被担保債権が移転するのではなく、「抵当権の優先弁済権のみ」を譲ってあげるという、言わば、「抵当権の処分」にあたります。
そこで、「移転」という文言ではなく、「譲渡」という文言を使い、 ” 抵当権のみの譲渡 ” といいます。
b.抵当権のみの譲渡と抵当権の順位譲渡
【抵当権のみの譲渡と抵当権の順位譲渡の違いとは?】
・抵当権のみの譲渡は、抵当権者が一般債権者に対して、抵当権のみを譲渡します。
・抵当権の順位譲渡は、抵当権者が、後順位の抵当権者に対し、抵当権の順位を譲渡します。
・抵当権のみの譲渡は、抵当権者が一般債権者に対して、抵当権のみを譲渡します。
・抵当権の順位譲渡は、抵当権者が、後順位の抵当権者に対し、抵当権の順位を譲渡します。
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c.抵当権のみの譲渡についてのイラスト付き解説
抵当権(のみ)の譲渡を、事例を交えて、登記記録であらわしてみました。
【事例】
現在、甲区1番 所有権者Xの不動産に、
①乙区1番で抵当権者A(債権額1,500万円)が入っています。
②乙区2番で抵当権者B(債権額1,500万円)が入っています。
③登記記録には出てこない無担保債権者C(債権額2,000万円)が存在します。
①乙区1番で抵当権者A(債権額1,500万円)が入っています。
②乙区2番で抵当権者B(債権額1,500万円)が入っています。
③登記記録には出てこない無担保債権者C(債権額2,000万円)が存在します。
これを登記記録であらわすと次のようになります。
①と②
①と②
甲区 | 乙区 | ||
1 | 所有権保存 X |
1 | 抵当権設定 債務者 X 債権額 金1,500万円 抵当権者 A |
2 | 抵当権設定 債務者 X 債権額 金1,500万円 抵当権者 B |
③登記記録には出てこない抵当権ナシの債権者C
債務者Xに対する「無担保債権者」C ○○年○○月○○日 金銭消費貸借 債務者 X 債権額 金2,000万円 債権者 C |
上記の事例をイラスト関係図であらわすとこんなイメージになります。
d.競売による配当
【事例】
所有権者Xの甲土地が競売にかけられ、売却された落札価格は金3,000万円でした。
通常の場合の配当
この場合の配当としては、次のようになります。
不動産の落札価格 金3,000万円 | |
A (債権額 1,500万円) |
配当金額 1,500万円 |
B (債権額 1,500万円) |
配当金額 1,500万円 |
C (債権額 2,000万円) |
配当金額 0円 |
合計 | 3,000万円 |
上記をイラスト関係図であらわすとこんなイメージです。
抵当権(のみ)の譲渡した後の配当金
【事例】
所有権者Xの甲土地が競売にかけられ、売却された落札価格は金3,000万円でした。
「1番抵当権者A」は、「一般債権者C」に対して抵当権(のみ)の譲渡をしました。
「1番抵当権者A」は、「一般債権者C」に対して抵当権(のみ)の譲渡をしました。
この場合の配当としては、次のようになります。
通常の配当 | 根抵当権のみの譲渡後 | ||
A (債権額 1,500万円) |
配当金額 1,500万円 |
→ | 配当金額 0円 |
B (債権額 1,500万円) |
配当金額 1,500万円 |
→ | 配当金額 1,500万円 |
C (債権額 2,000万円) |
配当金額 0円 |
→ | 配当金額 1,500万円 |
合計 | 3,000万円 | 3,000万円 |
「1番抵当権者A」の通常の「配当金額1,500万円」
+
「一般債権者C」の通常の「配当金額 0円」
・・・の合計金額『1,500万円』の範囲内で、
+
「一般債権者C」の通常の「配当金額 0円」
・・・の合計金額『1,500万円』の範囲内で、
順位譲渡を受けた「一般債権者C」は、Aより優先的に配当を受けることができます。
このことについて、イラストであらわすとこんなイメージになります。
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02 申請書の例
上記の事例の場合での申請書は次のようになります。
登記の目的 | 1番抵当権譲渡 |
原因日付 | ○○年○○月○○日 金銭消費貸借 同日譲渡 |
登記事項 | 債権額 金2,000万円 利息 年5% 損害金 年5% 債務者 X |
申請人 | 権利者(受益者) C 義務者 A |
登録免許税 | 不動産1個につき金1,000円 |
以上、「抵当権のみの譲渡」についてでした。
お疲れ様でした。
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