敷地権付き区分建物の登記|土地or建物のみを目的とする登記の可否,建物のみに関する旨の付記,敷地の抵当権の登記抹消,敷地権である旨の登記のまとめ

敷地権付き区分建物区分建物

今回の記事は、敷地権付き区分建物について、

00 そもそも敷地権付き区分建物とは?
01 土地or建物のみを目的とする権利の登記の可否
 →さらに詳細・その理由は?
02 建物のみに関する旨の付記がされるorされない
 a.建物のみに関する旨の付記がされる場合
 b.建物のみに関する旨の付記がされない場合
03 敷地の抵当権の登記が抹消される場合
 Ⅰ.敷地権の表示の登記がない区分建物に抵当権設定登記がされている場合
 Ⅱ.土地と建物に共同抵当権設定の登記がされている場合
  →その理由は?
04 敷地権である旨の登記
・・・についてを、まとめています。

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00 そもそも敷地権付き区分建物とは?

敷地権付き区分建物のイラスト

敷地権付き区分建物とは?

マンションの各部屋(専有部分)のことを「区分(所有)建物」といい、
その建物の敷地に関する権利のことを「敷地権」といいます。
そして、
敷地権区分建物 で、敷地権付き区分建物ということです。
マンションの各部屋(専有部分)の所有者は、その「専有部分」プラス「敷地の所有権等の共有持分」も、所有権があります。

なので、マンションの専有部分を売買などで所有権を移転した場合には、「敷地の所有権等の共有持分」も共に所有権が移転します。
敷地権付き区分建物は、原則として、「敷地権」と「区分建物」は分離して処分することはできません。

01 土地or建物のみを目的とする権利の登記の可否とその理由

・土地のみを目的とする権利の登記の可否
・建物のみを目的とする権利の登記の可否
・・・についての比較表をまとめています。

土地or建物のみを目的とする権利の登記の可否比較表

敷地権の登記がされた後は、原則として、「敷地権」と「区分建物」は分離して処分することはできません。

しかし、土地or建物のみを目的とする権利の登記が、できる場合とできない場合があります。
その登記の可否の比較まとめ表が次のとおりです。

 登記不可登記 可
所有権所有権移転

バラバラになるので前でも後でも不可
※原因が『相続』『時効取得』でも不可
①敷地権発生に原因生じた所有権移転の仮登記

「仮登記の本登記」は敷地権の表示の登記等を
抹消した後にしか申請できない
 ②敷地権が「地上権」「賃借権」の土地の所有権移転
抵当権
根抵当権
質権
①敷地権発生に原因生じた
(根)抵当権設定,質権設定
①敷地権発生に原因生じた
(根)抵当権設定,質権設定
 ②敷地権が賃借権の場合に区分建物のみを目的とする(根)抵当権設定
②敷地権発生に原因生じた
根抵当権の極度額の増額変更(※1)
③根抵当権の「債権の範囲」「債務者」の変更
先取特権一般の先取特権

一般の先取特権は「債務者の総財産」の上に
生ずる権利。
なので「区分建物」のみに成立することはありえない
特別の先取特権

(※3)
不動産売買の先取特権は除く
用益権 ①敷地権付区分建物のみを目的とする賃借権設定

「敷地権」とはそもそも「持分」
→「持分」に「賃借権」は設定できない
 ②土地のみの区分地上権
 ③土地のみの地役権
 ①差押え (※2)①敷地権発生に設定された担保権の実行による差押え (※2)
 ②仮差押え (※2)②処分禁止の仮処分 (※2)

「敷地権」とはそもそも「持分」なので、「持分」に「賃借権」は設定できないので、
敷地権付区分建物のみを目的とする賃借権設定は可能です。

さらに詳細・その理由

上記の中でも、

・根抵当権の極度額の増額変更or減額変更について
・差押え,仮差押,担保権実行による差押え,処分禁止の仮処分についての詳細理由
・建物のみに関する付記がされない場合-建物のみの不動産工事の先取特権

・・・についてをまとめました。
※1などは、上記の表に対応しています。

※1

【敷地権発生に原因生じた根抵当権の極度額の増額変更】

根抵当権の極度額の増額変更は実質新たな「根抵当権設定」と同視されます。
なので、敷地権発生の極度額の増額変更は分離処分に当たります。
【敷地権発生に原因生じた根抵当権の極度額の増額変更】

同じ根抵当権の極度額の増額変更でも、敷地権発生に原因生じたのなら、担保権設定は認められるので、敷地権発生の増額変更は認めらます。

※2
強制執行による差押え一般債権者がする「強制執行」や「仮差押」は、区分建物と敷地の両方を目的とすることが、もともとできることです。

つまり、元々「分離処分禁止」と同じベクトルに向いているわけなので、どちらか一方にだけ「差押え」「仮差押」を認める意味がないという理由です。
仮差押え
敷地権発生前に設定された
担保権実行による差押え
「担保権(ex:抵当権)」は通常土地か建物の一方にかかっていたり、
「処分禁止の仮処分」も、「建物を処分禁止とする」というように、
「担保権実行の差押え」も「処分禁止の仮処分」は、元々どちらか一方になされるものなので、土地か建物のどちらか一方への登記は可能となります。
処分禁止の仮処分

※3 下記の「b.建物のみに関する旨の付記がされない場合」を参照して下さい。

02 建物のみに関する旨の付記がされるorされない

建物のみに関する旨の付記がされる場合
建物のみに関する旨の付記がされない場合
についてまとめています。

a.建物のみに関する旨の付記がされる場合

区分建物のみに効力を有する登記がされた場合は、
「建物のみに関する旨」の付記が入ります。

【事例1】

抵当権設定登記がされている土地を敷地とするマンション建設予定の更地がありました。
建物のみに関する旨の付記がされる場合-1 抵当権設定登記がされている土地を敷地とするマンション建設予定の更地があった

その土地に、区分建物が新築されました。
建物のみに関する旨の付記がされる場合-2 その土地に、区分建物が新築された。

敷地権の表示の登記がされました。
建物のみに関する旨の付記がされる場合-3 敷地権の表示の登記がされた

敷地に設定されている「抵当権の被担保債権」と「同一債権を担保する」ため、区分建物のみを目的として抵当権設定登記がされました。
建物のみに関する旨の付記がされる場合-4 敷地に設定されている「抵当権の被担保債権」と「同一債権を担保する」ため、区分建物のみを目的として抵当権設定登記がされた。

登記官の職権により『建物のみに関する旨』が付記されます。
建物のみに関する旨の付記がされる場合-5 登記官の職権により「建物のみに関する旨」が付記される

b.建物のみに関する旨の付記がされない場合

建物にだけ効力が及ぶのが当たり前なら、建物のみに関する旨の付記登記は不要です。

【事例2】
上記の(※3)の、「建物のみの不動産工事の先取特権」についてです。

特別の先取特権(不動産保存・不動産工事)や賃借権の登記は、「建物のみ」に関する権利であることが明らかです。

なので、
例:敷地権の登記が生じた後でも、「建物のみ」を目的とする「不動産工事の先取特権」は可能です。
「不動産工事の先取特権」は敷地権を目的とは、しません。
なので、「建物のみに関する旨」が付記がされることはなく、当然に「建物のみ」を目的とすることになります。

03 敷地の抵当権の登記が抹消される場合

・ケースⅠ:敷地権の表示の登記がない区分建物に抵当権設定登記がされている
・ケースⅡ:土地と建物に共同抵当権設定の登記がされている
・・・についてです。

Ⅰ.敷地権の表示の登記がない区分建物に抵当権設定登記がされている場合

【ケースⅠ】

敷地権の表示の登記がない区分建物に、抵当権設定登記がされています。
敷地権の表示の登記がされました。
「建物にされている抵当権の被担保債権」と「同一債権を担保する」ため、敷地権となった土地にも、抵当権設定登記がされている場合には、
土地についてされている抵当権の登記が抹消されます。

Ⅱ.土地と建物に共同抵当権設定の登記がされている場合

【ケースⅡ】

土地と建物に共同抵当権設定の登記がされています。
敷地権の表示の登記がされました。
登記官の職権により、土地の権利の「共有持分にされた抵当権の登記」が抹消されます。
 
【なぜ、土地の権利の共有持分にされた抵当権の登記が抹消されるのか?】
「区分建物にされた登記」は「敷地権の登記」としての効力も有します。

なので、「土地抵当権と同一内容の登記」が区分建物にされているのなら、「区分建物の抵当権」の登記を残しておけば、「敷地権」と「区分建物」の両方に登記がされていることになります。

だから、敷地権にされていた抵当権の登記が抹消されることになるわけです。

04 敷地権である旨の登記

敷地権は、

・敷地権が地上権or賃借権
・敷地権が所有権

・・・があります。

そして、「敷地権である旨の登記」がされたら、地上権・賃借権・所有権のどの場合でも、必ず主登記で登記されます。

以上、敷地権付き区分建物についてのまとめでした。
お疲れ様でした。

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