承継執行文の付与

執行文と承継執行文の違い

【執行文】
強制執行の開始を求めるには、債務名義に「執行文の付与」を受けることが必要。
強制執行ができるか否?というもの。

【承継執行文】~判決による単独申請は、例外的~
判決登記で権利者(勝訴した側)が「単独申請」できるのは、義務者側の意思擬制できるから。したがって、登記申請の意思擬制には、原則として執行文は不要。
承継執行文は、執行文の範囲をどこまで及ぼすことができるか?というもの。

口頭弁論終結 前・後のながれ

口頭弁論終結 前 口頭弁論終結前であれば「訴訟当事者の変更」の問題であって、
承継執行文の問題ではない。
口頭弁論終結 後 口頭弁論終結後の「承継人(登記義務者)」に関して、
承継執行文の問題が出てくる。

口頭弁論終結前後と承継執行文のながれ図解で説明

口頭弁論終結 後 の登記権利者と登記義務者

登記権利者の変更
(勝訴した側)
 不 要
※登記権利者側なんだから、「執行される側」ではないので、承継執行文の話しは出てこない。
登記義務者の変更 一般承継
  ex:相続
承継執行文の付与が 必 要 ! ※1
特定承継
  ex:売買
民177の対抗関係の話しになる。
※承継執行文の話しは出てこない

※1 以下の『口頭弁論終結後に登記義務者側の一般承継』を参照

口頭弁論終結後に登記義務者側の一般承継

登記義務者が相続登記を入れたケース

事例:口頭弁論終結後に登記義務者に相続が開始し、相続登記を入れた。

AからBへの「所有権移転登記手続を命じる判決」が確定した
口頭弁論終結後に、登記義務者Aが死亡した
亡Aの相続人Cが、原因:相続による所有権移転登記をした

原告勝訴判決確定後、被告側が相続登記をした。

Bは「相続人等の包括承継人(C)の戸籍謄本等」を提出すれば、
「承継執行文が付与」される
Bは「承継執行文の付与」を受け、単独でCからBへの
所有権移転登記を申請できる

③で「相続人C」が相続登記をしているが、そもそも「甲不動産」はすでに「Aの相続財産」に属しない。
        ▼
なので本来的には、AからCへの「相続登記」を抹消すべきところ、
        ▼
便宜上、直接CからBへの所有権移転登記が可となる。

登記義務者の相続登記が入っていないケース

登記権利者は、「承継執行文の付与」を受けなくとも、普通に判決による単独申請登記できる。

 
 

登記義務者が死亡して、実際には相続が開始していても、
「債務名義」じたいは、故:登記義務者のままだから、
相続登記が入ってなければ、登記官としては、
そりゃ申請受理せざるを得ないブゥ

だって、登記権利者は、相続登記入ってなければ、
義務者が死亡してるとバレないわけで、
承継執行文の付与を受けなくても申請OKだブゥ

もしも、口頭弁論終結前に・・・

口頭弁論終結前に訴訟当事者に承継があった場合
➡口頭弁論終結前では、そもそも「訴訟当事者の変更」の問題であって承継執行文の問題ではない。

BがAに対し提起した「所有権移転登記請求訴訟」の係属中に、
被告A(現:所有権登記名義人)が第三者Cに対し所有権移転をし、
Cは登記を得た
たとえ、原告Bが勝訴しても、Cには対抗できない

・原告Bは、「承継執行文の付与」を受けるか否かの問題ではなく、
 先に登記を経由したCには対抗できない。

 
 

こういうことにならないように、原告Bは訴訟係属中に
「処分禁止の仮処分」などの処置をしておくべきだったニャ