【2023年更新】消滅時効|時効の完成猶予・更新,時効利益の放棄・債務の承認,消滅時効の援用権者,消滅時効の年数,催告・協議の合意まとめ

消滅時効-時効の完成猶予,時効の更新,時効利益の放棄,承認,消滅時効の援用権者,催告・協議の合意 時効

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今回の記事は、消滅時効についての、

01 時効の完成猶予と時効の更新
 a.時効の完成猶予とは?
 b.時効の更新とは?
02 時効利益の放棄と債務の承認
03 消滅時効の援用権者
04 消滅時効の年数まとめ表
05 承認・催告・協議の合意
・・・についてを、イラスト図解付きで、わかりやすくまとめています。

時効の完成猶予・時効の更新について、基礎的な知識を確認したい方は下記の外部リンクへどうぞ▼

01 時効の完成猶予と時効の更新

消滅時効には、時効の完成猶予と時効の更新があります。そして、ここでは、

a.時効の完成猶予とは?
  →時効の完成猶予事由
b.時効の更新とは?
  →時効の更新事由
・・・についてをイラスト図解付きでわかりやすく解説しています。

a.時効の完成猶予とは?

時効の完成猶予とは、ある一定の「時効の完成猶予事由」が発生した場合には、時効の完成が猶予されるという制度です。

もっとかんたんに言うと、「時効の完成猶予」は「時効の一時停止」です。
「時効」は時間と共に進行していき、いずれ時効は消滅していきます。
これが「消滅時効」なわけですが、その「時効の進行」が一時停止するとイメージして下さい。

イメージ図としてはこんな感じです▼

時効の完成猶予事由

では、どういう事由で「時効の完成猶予」がされるのかというと、次のような事由です。

①裁判上の請求(訴えの提起)
②強制執行・競売
③仮差押え
④裁判外の請求(催告)
⑤協議を行う旨の合意
⑥天災
上記のような事由があれば、時効の進行が一時停止する(時効の完成猶予)ということです。

b.時効の更新とは?

時効の更新とは、これまでに進行中の時効期間がリセットされ、あらためてカウント0からやり直し、再スタートさせることです。

かんたんに言うと「時効の更新」は「時効のリセット・カウント0から再スタート」とイメージして下さい。

イメージ図としてはこんな感じです▼

時効の更新イメージ図-時効をリセットし、カウント0からやり直す

時効の更新事由

では、どういう事由で「時効の更新」がされるのかというと、次のような事由です。

①裁判上の請求(訴えの提起)し、確定判決
②強制執行・競売
③承認
上記のような事由があれば、時効のリセット・カウント0から再スタートする(時効の更新)ということです。

※この「司法書士合格に向けて!」では、比較的、基礎的な解説は省いて、どちらかというと小難しい論点を掲載していますが、『時効の完成猶予と時効の更新』について、基礎的なことを確認したいという方は、こちらの外部リンクへどうぞ▼

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02 時効利益の放棄と債務の承認

ここでは、「時効利益の放棄」と「債務の承認」に関する次のことについてまとめています。

・時効の利益をあらかじめ放棄できる?できない?
・時効の完成後の「承認」について
・時効の完成前の「承認」について
・主債務者が時効の利益を放棄したときの、保証人は?
・法定代理人等の同意を得ないでした時効利益の放棄

a.時効の利益をあらかじめ放棄できる?できない?

時効完成前に、時効の利益をあらかじめ放棄することはできません。
この理由としては、例えば、Aが借金をしていて、その債権者Bから時効が完成する前に脅されて、「消滅時効が完成しても、時効の利益を放棄しろよ!もう今から、時効の利益を放棄すると、一筆書いておけ!」みたいなことになるかもしれません。
こういうことを避けるために、時効の利益は、あらかじめ放棄できないことになっています。
時効完成前に、あらかじめ時効の利益を放棄することはできない

>>『行政書士ブログ/民法/時効Ⅲ/時効完成前の時効の放棄』へ戻る

b.時効の完成後の「承認」について

時効の完成後に、

①「時効の完成」を知ってて「承認」した場合には、これは、「時効利益の放棄」に当たります。
②「時効の完成」を知らずに「承認」してしまった場合でも、信義則上、消滅時効の援用はできなくなります。

「時効の完成」を知ってて「承認」した場合のイメージ図はこんな感じ▼

「時効の完成」を知ってて「承認」した場合には、「時効利益の放棄」に当たる

「時効の完成」を知らずに「承認」してしまった場合でも、信義則上、消滅時効の援用はできなくなる場合の、イメージ図はこんな感じ▼

「時効の完成」を知らずに「承認」してしまった場合でも、信義則上、消滅時効の援用はできなくなる

>>『行政書士ブログ/民法/時効Ⅲ/時効完成後の債務の承認』へ戻る

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c.時効の完成前の「承認」について

時効の完成前に承認した場合は、「時効の更新」となります。

時効の完成前に、債務を承認すると、それまでの時効期間はそこで「リセット」され、時効期間のカウントは、0から再スタートになります。

d.主債務者が時効の利益を放棄したときの、保証人は?

「主債務者」が時効の利益を放棄しても、「保証人」は「主債務の消滅時効」を援用できます。

※これは、「時効利益の放棄」に関しては、「主債務者」と「保証人」は、相対効の関係だからです。


主債務者が時効利益を放棄しても、保証人は消滅時効の援用できることの、イメージ図はこんな感じ▼

主債務者が時効利益を放棄しても、保証人は消滅時効の援用できる

e.法定代理人等の同意を得ないでした時効利益の放棄

法定代理人等の同意を得ないで、
①未成年者 ②成年被後見人 ③被保佐人 ④被補助人がした「時効完成後の時効利益の放棄」は、取り消すことができます。
例えば、「債務の承認」は、そもそも、財産の管理行為をする能力・権限があることが必要とされています。
そして、この点、
・未成年者と成年被後見人には、財産の管理能力がナイので、単独で承認ができない。
(※未成年者の承認は取り消しうる)
・被保佐人と被補助人は、財産の管理能力があるので、単独で承認することができる。
・・・とされています。

しかし、被保佐人と被補助人でも、時効の完成後は、単独で「債務の承認」も「時効利益の放棄」も、保佐人等の同意を得なければ、単独ではできません。

【時効の完成後は、被保佐人と被補助人も、単独でできなくなる理由】

時効の完成後に、債務の承認をしてしまうということは、新たな借金を抱えるのと同じだからです。
これは、「時効利益の放棄」も同様です。
本来的には、弁済しなくていいものを、弁済するわけですから、まさに新たな借金です。
だから、時効の完成後には、保護者の同意が必要です。
 
時効の完成後の債務の承認は保佐人の同意が必要

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03 消滅時効の援用権者

消滅時効の援用権者をまとめた表は次のとおりです。

対象権利 ・・・の消滅時効を援用できる者 可否
主たる債務 保証人,連帯保証人
被担保債権 物上保証人,抵当不動産の第三取得者
予約完結権 仮登記(売買予約)された不動産の第三取得者
予約完結権 売買予約の仮登記に後れる抵当権者
詐害行為取消権者の
被担保債権
詐害行為の受益者
他の債権者に対する債務 債務者に代位した金銭債権の一般債権者
他の債権者に対する債務 金銭債権の一般債権者 ×
先順位抵当権の被担保債権 後順位抵当権者 ×

04 消滅時効の年数まとめ表

消滅時効の年数についてですが、2020年に民法が改正されましたので、

・2020年3月31日以前に生じた債権
・2020年4月 1日以降に生じた債権

に分けて、まとめ表を作成しました。

【2020年3月31日以前に生じた債権】

  期間 起算点

商人間の貸金 5年 弁済期の定めがある債権→弁済期
弁済期の定めがナイ債権→債権成立時
銀行からの証書貸付け 貸付金の支払日
貸付金の利息,遅延損害金 利息→特約無ければ貸付日
遅延損害金→弁済期
不当利得返還請求権 10年 不当利得返還請求権が発生した日



生産者,小売商人等が売却した代金請求権 2年 商品の代金請求権を主張できる日
宿泊料・飲食料 1年 代金の支払い時

工事の請負代金請求権 3年 工事が終了した日
製造人等の債権 2年 目的物の引渡し(完成)時
動産の賃料
(※営業用の長期は除く)
1年 代金の支払い時(弁済期)
賃金
報酬
労働者の賃金請求権 2年 賃金請求権を主張できる日(給料日)
取締役の報酬請求権 5年 報酬請求権を主張できる日(報酬支払い日)






債務不履行(商事)に対する 5年 本来の債務の履行期
債務不履行(民事)に対する 10年
不法行為に対する 3年 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時
20年 不法行為時

 

【2020年4月 1日以降に生じた債権】

  期間 起算点
債務不履行 生命・身体障害の損害賠償請求権 5年 被害者・法定代理人が損害・加害者を知った時
20年 不法行為時
不法行為 生命・身体障害の損害賠償請求権 5年 被害者・法定代理人が損害・加害者を知った時
20年 不法行為時
債務不履行 一般的な債権 5年 債権者が権利を行使できることを知った時
10年 権利を行使できる時
不法行為 一般的な債権 3年 知った時から
20年 不法行為時
損害賠償請求権 賃貸借・使用貸借 1年 貸主が貸借物の返還を受けた時
定期債権 10年 債権者が権利を行使できることを知った時
20年 権利を行使できる時

 

05 承認・催告・協議の合意

【債務の承認に当たること】
・一部弁済
・利息の支払い
・支払い猶予の申し入れ
  1回目 2回目 完成猶予期間
a. 1回目の催告   催告の時から6か月を経過するまで
  2回目の催告 ✖ 催告は1回ポッキリ。
催告の繰り返しにより時効完成の引き延ばしを防止する
b. 1回目の
協議の合意
(書面で来い!)
  ①合意から1年経過時
②合意による協議期間(1年未満)を定めた場合、
 その期間の経過時
③協議続行拒絶通知から6か月経過後
  2回目の
協議の合意
通算5年以内
協議の合意は債権者と債務者の双方が合意しているので
c. まずは催告    
     次に協議の合意 ✖ 「催告」しか認められない
d. まずは協議の合意    
  次に催告 ✖ 「協議の合意」しか認められない

以上、消滅時効についての、

01 時効の完成猶予と時効の更新
 a.時効の完成猶予とは?
 b.時効の更新とは?
02 時効利益の放棄と債務の承認
03 消滅時効の援用権者
04 消滅時効の年数まとめ表
05 承認・催告・協議の合意
のまとめでした。お疲れ様でした。
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