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今回の記事は、消滅時効についての、
a.時効の完成猶予とは?
b.時効の更新とは?
02 時効利益の放棄と債務の承認
03 消滅時効の援用権者
04 消滅時効の年数まとめ表
05 承認・催告・協議の合意
時効の完成猶予・時効の更新について、基礎的な知識を確認したい方は下記の外部リンクへどうぞ▼
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01 時効の完成猶予と時効の更新
消滅時効には、時効の完成猶予と時効の更新があります。そして、ここでは、
→時効の完成猶予事由
b.時効の更新とは?
→時効の更新事由
a.時効の完成猶予とは?
時効の完成猶予とは、ある一定の「時効の完成猶予事由」が発生した場合には、時効の完成が猶予されるという制度です。
もっとかんたんに言うと、「時効の完成猶予」は「時効の一時停止」です。
「時効」は時間と共に進行していき、いずれ時効は消滅していきます。
これが「消滅時効」なわけですが、その「時効の進行」が一時停止するとイメージして下さい。
イメージ図としてはこんな感じです▼
時効の完成猶予事由
では、どういう事由で「時効の完成猶予」がされるのかというと、次のような事由です。
②強制執行・競売
③仮差押え
④裁判外の請求(催告)
⑤協議を行う旨の合意
⑥天災
b.時効の更新とは?
時効の更新とは、これまでに進行中の時効期間がリセットされ、あらためてカウント0からやり直し、再スタートさせることです。
かんたんに言うと「時効の更新」は「時効のリセット・カウント0から再スタート」とイメージして下さい。
イメージ図としてはこんな感じです▼
時効の更新事由
では、どういう事由で「時効の更新」がされるのかというと、次のような事由です。
②強制執行・競売
③承認
※この「司法書士合格に向けて!」では、比較的、基礎的な解説は省いて、どちらかというと小難しい論点を掲載していますが、『時効の完成猶予と時効の更新』について、基礎的なことを確認したいという方は、こちらの外部リンクへどうぞ▼
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02 時効利益の放棄と債務の承認
ここでは、「時効利益の放棄」と「債務の承認」に関する次のことについてまとめています。
・時効の完成後の「承認」について
・時効の完成前の「承認」について
・主債務者が時効の利益を放棄したときの、保証人は?
・法定代理人等の同意を得ないでした時効利益の放棄
a.時効の利益をあらかじめ放棄できる?できない?
>>『行政書士ブログ/民法/時効Ⅲ/時効完成前の時効の放棄』へ戻る
b.時効の完成後の「承認」について
①「時効の完成」を知ってて「承認」した場合には、これは、「時効利益の放棄」に当たります。
②「時効の完成」を知らずに「承認」してしまった場合でも、信義則上、消滅時効の援用はできなくなります。
「時効の完成」を知ってて「承認」した場合のイメージ図はこんな感じ▼
「時効の完成」を知らずに「承認」してしまった場合でも、信義則上、消滅時効の援用はできなくなる場合の、イメージ図はこんな感じ▼
>>『行政書士ブログ/民法/時効Ⅲ/時効完成後の債務の承認』へ戻る
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c.時効の完成前の「承認」について
時効の完成前に、債務を承認すると、それまでの時効期間はそこで「リセット」され、時効期間のカウントは、0から再スタートになります。
d.主債務者が時効の利益を放棄したときの、保証人は?
※これは、「時効利益の放棄」に関しては、「主債務者」と「保証人」は、相対効の関係だからです。
主債務者が時効利益を放棄しても、保証人は消滅時効の援用できることの、イメージ図はこんな感じ▼
e.法定代理人等の同意を得ないでした時効利益の放棄
①未成年者 ②成年被後見人 ③被保佐人 ④被補助人がした「時効完成後の時効利益の放棄」は、取り消すことができます。
そして、この点、
(※未成年者の承認は取り消しうる)
・被保佐人と被補助人は、財産の管理能力があるので、単独で承認することができる。
しかし、被保佐人と被補助人でも、時効の完成後は、単独で「債務の承認」も「時効利益の放棄」も、保佐人等の同意を得なければ、単独ではできません。
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03 消滅時効の援用権者
消滅時効の援用権者をまとめた表は次のとおりです。
対象権利 | ・・・の消滅時効を援用できる者 | 可否 |
主たる債務 | 保証人,連帯保証人 | 可 |
被担保債権 | 物上保証人,抵当不動産の第三取得者 | 可 |
予約完結権 | 仮登記(売買予約)された不動産の第三取得者 | 可 |
予約完結権 | 売買予約の仮登記に後れる抵当権者 | 可 |
詐害行為取消権者の 被担保債権 |
詐害行為の受益者 | 可 |
他の債権者に対する債務 | 債務者に代位した金銭債権の一般債権者 | 可 |
他の債権者に対する債務 | 金銭債権の一般債権者 | × |
先順位抵当権の被担保債権 | 後順位抵当権者 | × |
04 消滅時効の年数まとめ表
消滅時効の年数についてですが、2020年に民法が改正されましたので、
・2020年4月 1日以降に生じた債権
に分けて、まとめ表を作成しました。
【2020年3月31日以前に生じた債権】
期間 | 起算点 | ||
貸 金 |
商人間の貸金 | 5年 | 弁済期の定めがある債権→弁済期 |
弁済期の定めがナイ債権→債権成立時 | |||
銀行からの証書貸付け | 貸付金の支払日 | ||
貸付金の利息,遅延損害金 | 利息→特約無ければ貸付日 遅延損害金→弁済期 |
||
不当利得返還請求権 | 10年 | 不当利得返還請求権が発生した日 | |
売 買 代 金 |
生産者,小売商人等が売却した代金請求権 | 2年 | 商品の代金請求権を主張できる日 |
宿泊料・飲食料 | 1年 | 代金の支払い時 | |
仕 事 |
工事の請負代金請求権 | 3年 | 工事が終了した日 |
製造人等の債権 | 2年 | 目的物の引渡し(完成)時 | |
動産の賃料 (※営業用の長期は除く) |
1年 | 代金の支払い時(弁済期) | |
賃金 報酬 |
労働者の賃金請求権 | 2年 | 賃金請求権を主張できる日(給料日) |
取締役の報酬請求権 | 5年 | 報酬請求権を主張できる日(報酬支払い日) | |
損 害 賠 償 請 求 権 |
債務不履行(商事)に対する | 5年 | 本来の債務の履行期 |
債務不履行(民事)に対する | 10年 | ||
不法行為に対する | 3年 | 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時 | |
20年 | 不法行為時 |
【2020年4月 1日以降に生じた債権】
期間 | 起算点 | ||
債務不履行 | 生命・身体障害の損害賠償請求権 | 5年 | 被害者・法定代理人が損害・加害者を知った時 |
20年 | 不法行為時 | ||
不法行為 | 生命・身体障害の損害賠償請求権 | 5年 | 被害者・法定代理人が損害・加害者を知った時 |
20年 | 不法行為時 | ||
債務不履行 | 一般的な債権 | 5年 | 債権者が権利を行使できることを知った時 |
10年 | 権利を行使できる時 | ||
不法行為 | 一般的な債権 | 3年 | 知った時から |
20年 | 不法行為時 | ||
損害賠償請求権 賃貸借・使用貸借 | 1年 | 貸主が貸借物の返還を受けた時 | |
定期債権 | 10年 | 債権者が権利を行使できることを知った時 | |
20年 | 権利を行使できる時 |
05 承認・催告・協議の合意
・一部弁済
・利息の支払い
・支払い猶予の申し入れ
1回目 | 2回目 | 完成猶予期間 | |
a. | 1回目の催告 | 催告の時から6か月を経過するまで | |
2回目の催告 | ✖ 催告は1回ポッキリ。 催告の繰り返しにより時効完成の引き延ばしを防止する |
||
b. | 1回目の 協議の合意 (書面で来い!) |
①合意から1年経過時 ②合意による協議期間(1年未満)を定めた場合、 その期間の経過時 ③協議続行拒絶通知から6か月経過後 |
|
2回目の 協議の合意 |
通算5年以内 協議の合意は債権者と債務者の双方が合意しているので |
||
c. | まずは催告 | ||
次に協議の合意 | ✖ 「催告」しか認められない | ||
d. | まずは協議の合意 | ||
次に催告 | ✖ 「協議の合意」しか認められない |
以上、消滅時効についての、
a.時効の完成猶予とは?
b.時効の更新とは?
02 時効利益の放棄と債務の承認
03 消滅時効の援用権者
04 消滅時効の年数まとめ表
05 承認・催告・協議の合意
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