今回の記事は、『募集株式の発行』に関する記事です。
Ⅰ 募集事項の決定
Ⅱ 第三者割当て・株主割当の比較
Ⅲ 決議機関
a.第三者割当ての場合
b.株主割当の場合
Ⅳ 募集株式の株主への通知
a.第三者割当て・株主割当 比較
b.第三者割当て
①通知又は公告を省略できるケース
c.株主割当
①公告は不可
②手続きの審査
③基準日がある場合
00 募集株式の発行とは?
募集株式には、
・自己株式を処分する場合
Ⅰ 募集事項の決定
株式会社が「募集株式の発行」等をするときには、そのたびに募集事項を決めていかなければなりません。
【募集事項】
1 | 募集株式の数(種類株式発行会社では、募集株式の種類及び数) |
2 | 募集株式の払込金額又はその算定方法 |
3 | 現物出資の場合は、その旨ならびに当該財産の内容及び価額 |
4 | 払込期日又は払込期間 |
5 | 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項 |
Ⅱ 第三者割当て・株主割当 比較表
募集株式の発行には、第三者割当ての場合と株主割当ての場合があります。
その第三者割当て・株主割当ての比較をまとめた表が次のようになります。
第三者割当て | 株主割当 |
差止請求の機会の付与 |
申込みするか否かを判断する機会の付与 ※既存の株主に対し、申込みをするかどうかの選択の機会を与えることを目的とするもの |
払込期日(払込期間の初日)の2週間前までに 募集事項の「通知又は公告」 |
引受の申込期日の2週間前までに募集事項等を「通知」 ※公告は不可 |
【省略できる場合】 ・非公開会社 ・公開会社で有利発行 |
省略不可 |
【瑕疵の治癒】 2週間の期間がない場合に、瑕疵を治癒できるケース 株主全員の同意書+株主リスト |
【瑕疵の治癒】 2週間の期間がない場合に、瑕疵を治癒できるケース 株主全員の同意書+株主リスト |
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Ⅲ 決議機関
a.第三者割当て
募集株式発行の第三者割当てでの決議機関は、次のとおりです。
公開会社 | 通常発行 | 取締役会決議 株主総会で、決議した場合は「定款添付」 |
有利発行 | 株主総会/特別決議 注1:「株主総会議事録」は添付しなくていい! |
|
他機関への委任 | 取締役への委任 可 (1年以内の日) |
|
非公開 | 通常発行 | 株主総会/特別決議 |
有利発行 | ||
他機関への委任 | 取締役会or取締役への委任 可 (1年以内の日) 注2:定款添付はありえない! |
b.株主割当
募集株式発行の株主割当てでの決議機関は、次のとおりです。
公開会社 | 取締役会決議 株主総会で、決議した場合は「定款添付」 |
非公開 | 原則:株主総会/特別決議 |
定款で定めれば「取締役会決議」or「取締役過半数の一致」 可 【添付書面】 「定款」+「取締役会議事録」or「取締役の過半数の一致」 |
Ⅳ 募集株式の株主への通知
募集株式の発行で、第三者割当てをする場合には、原則として払込期日(払込期間の初日)の2週間前までに、既存の株主に対して募集事項の通知又は公告しなければなりません。
そして、「払込期日」or「払込期間の初日」から2週間ないときには、原則として「総株主の同意」が必要です。
ただし、次の場合には省略できます。
a.第三者割当て・株主割当 比較
『株主への通知』は、「第三者割当て」と「株主割当」では違いが出てきます。
その違いをまとめた表が次のとおりです。
第三者割当て | 株主割当 | |
期限 | 払込期日又は払込期間の初日から2週間前まで | 申込み期日から2週間前まで |
不要のケース | ・非公開会社 (理由:株主総会/特別決議でするから) ・公開会社で有利発行するケース (理由:株主総会/特別決議でするから) |
例外はナシ (必ず必要) |
瑕疵の治癒 | 株主全員の同意書+株主リスト | 株主全員の同意書+株主リスト |
b.第三者割当て
①通知又は公告を省略できるケース
原則として、払込期日(払込期間の初日)の2週間前までに株主に対して募集事項の通知又は公告しなければなりませんが、次の場合には省略することが可能です。
a.非公開会社の場合 非公開会社の場合には、「株主総会」で募集事項を決定します。
ならば、募集事項は把握できているはずだから、通知又は公告を省略可能としています。 |
b.公開会社の場合でも、「有利発行」による場合 通常、公開会社での募集事項の決定は「取締役会決議」ですが、たとえ公開会社の場合でも、「有利発行」による場合には、「株主総会/特別決議」で募集事項を決定しています。
なので、株主総会で決議しているのなら、募集事項は把握できているはずだからです。 |
c.公開会社の場合でも「株主総会での決議によって募集事項を定めた」場合 通常、公開会社での募集事項の決定は「取締役会決議」ですが、「定款」で「株主総会決議」としている場合があります。
株主総会で決議しているのなら、募集事項は把握できているはずだからです。 |
d.株式会社が募集事項について、払込期日等の2週間前までに金融商品取引法4条1項or2項の届出をしている場合、その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合
|
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c.株主割当
①公告は不可
募集株式の発行で、株主割当をする場合には、「引受の申込み期日」の2週間前までに、株主に対して募集事項の通知をしなければなりません。
「募集事項の決議の日」と議事録に記載された「申込み期日」との間が、2週間 必要です。
図であらわすと次のようになります。
この通知が必要です。
②手続きの審査
「募集事項の決議の日」or「基準日」と「申込み期日」との間に2週間が必要ですが、
▼
新株引受権を有する「株主全員の同意」があれば2週間は短縮できます。
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③基準日がある場合
以上、募集株式の発行に際しての、第三者割当てor株主割当て の比較・違いについての記事でした。
内容としては、
・「募集株式の発行」について、第三者割当て・株主割当てのそれぞれの決議機関のまとめ表
・「第三者割当ての募集株式発行の手順」を図で表している
・・・などの内容となっています。
くわしく知りたい方は、下記のリンクからどうぞ▼
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