窃盗罪

不法領得の意思

不法領得の意思 ①権利者を排除して「所有者として振る舞う」意思(排除意思)
②物の経済的用法に従って利用・処分する意思(利用・処分意思)

不法領得の意思の肯定or否定

排除意思 肯定 ①自転車を窃取し、乗り捨てるつもりだった。
→「不法領得の意思」が認められる。
②自動車のケースで、長時間(4時間余)乗り回した。
 たとえ返還の意思があったとしても、
→「不法領得の意思」が認められる。
否定 ・一時使用の目的で自転車を窃取したが、直ちに返還するつもりだった。
→「不法領得の意思」は認められない。
利用・処分意思 肯定 ①金銭の交付を受ける目的で商品を持ち出した。
 返還意思があったとしても、
→「不法領得の意思」が認められる。
②コピーして内容を他に漏らす目的で秘密資料を持ち出した。
 すみやかに返還する意思があったとしても、
→「不法領得の意思」が認められる。
③特定の候補者の氏名を記入して投票に混入するため、投票用紙を窃取する行為
→「不法領得の意思」が認められる。
否定 ①嫌がらせの目的で、他人の財物を水中に投機した
→「不法領得の意思」は認められない。
②校長に責任を負わせるため、学校の金庫から重要書類を持ち出して校舎の天井裏に隠した
→「不法領得の意思」は認められない。
③・郵便配達員を欺き、
 ・交付を受けた支払督促正本等を廃棄した
 廃棄するのが目的で他に利用・処分する意思はなかった。
→「不法領得の意思」は認められない。

客体

他人の財物・占有・遺失物

他人の財物 「自分の財物」であっても、他人が占有し公務所の命令により他人が看守しているときは、
→「他人の財物」とみなされる
占有 肯定 ①友人に一時留守を頼んだ者
→自宅内の金品の占有あり
②自宅前の公道に放置した自転車
→占有あり
③バスを待つ間に置き忘れたカメラに、5分後20メートル先で気づいた
→占有あり
④ポシェットを置き忘れ公園のベンチから27メートル離れた時点で領得された
→被害者に占有あり
否定 ・スーパーの6階のベンチに財布を置き忘れ、地下1階で10分後に思い出した
→本人に財布の占有はナイ
移転 ①ゴルフ場はロストボールを後で回収し、これを販売することになっている場合
→ゴルフボールはゴルフ場の占有
②旅館内に置き忘れた物
→旅館主の占有
(例外) 走行中の電車内に置き忘れられた物
→「遺失物」になる。

死者の占有

最初から「財物奪取」の目的で殺害し、
その後に財物を」奪う
強盗殺人罪が成立
→生前の被害者の占有につき、殺人を手段として侵害したといえる。
被害者を殺した後に、はじめて「財物奪取」の意思を生じた 窃盗罪が成立
→被害者を殺害した犯人との関係では、被害者の死亡と時間的・場所的に近接した関係にある以上、被害者の「生前の占有」を侵害していると評価できる。
「殺害された被害者=死体」から第三者が財物を奪う 遺失物等横領罪

 

刑法