窃盗罪
公開日 2020年9月1日 最終更新日 2020年9月1日
不法領得の意思
不法領得の意思 | ①権利者を排除して「所有者として振る舞う」意思(排除意思) ②物の経済的用法に従って利用・処分する意思(利用・処分意思) |
不法領得の意思の肯定or否定
排除意思 | 肯定 | ①自転車を窃取し、乗り捨てるつもりだった。 →「不法領得の意思」が認められる。 |
②自動車のケースで、長時間(4時間余)乗り回した。 たとえ返還の意思があったとしても、 →「不法領得の意思」が認められる。 |
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否定 | ・一時使用の目的で自転車を窃取したが、直ちに返還するつもりだった。 →「不法領得の意思」は認められない。 |
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利用・処分意思 | 肯定 | ①金銭の交付を受ける目的で商品を持ち出した。 返還意思があったとしても、 →「不法領得の意思」が認められる。 |
②コピーして内容を他に漏らす目的で秘密資料を持ち出した。 すみやかに返還する意思があったとしても、 →「不法領得の意思」が認められる。 |
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③特定の候補者の氏名を記入して投票に混入するため、投票用紙を窃取する行為 →「不法領得の意思」が認められる。 |
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否定 | ①嫌がらせの目的で、他人の財物を水中に投機した →「不法領得の意思」は認められない。 |
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②校長に責任を負わせるため、学校の金庫から重要書類を持ち出して校舎の天井裏に隠した →「不法領得の意思」は認められない。 |
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③・郵便配達員を欺き、 ・交付を受けた支払督促正本等を廃棄した 廃棄するのが目的で他に利用・処分する意思はなかった。 →「不法領得の意思」は認められない。 |
客体
他人の財物・占有・遺失物
他人の財物 | 「自分の財物」であっても、他人が占有し公務所の命令により他人が看守しているときは、 →「他人の財物」とみなされる |
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占有 | 肯定 | ①友人に一時留守を頼んだ者 →自宅内の金品の占有あり |
②自宅前の公道に放置した自転車 →占有あり |
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③バスを待つ間に置き忘れたカメラに、5分後20メートル先で気づいた →占有あり |
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④ポシェットを置き忘れ公園のベンチから27メートル離れた時点で領得された →被害者に占有あり |
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否定 | ・スーパーの6階のベンチに財布を置き忘れ、地下1階で10分後に思い出した →本人に財布の占有はナイ |
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移転 | ①ゴルフ場はロストボールを後で回収し、これを販売することになっている場合 →ゴルフボールはゴルフ場の占有 |
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②旅館内に置き忘れた物 →旅館主の占有 |
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(例外) | 走行中の電車内に置き忘れられた物 →「遺失物」になる。 |
死者の占有
最初から「財物奪取」の目的で殺害し、 その後に財物を」奪う |
強盗殺人罪が成立 →生前の被害者の占有につき、殺人を手段として侵害したといえる。 |
被害者を殺した後に、はじめて「財物奪取」の意思を生じた | 窃盗罪が成立 →被害者を殺害した犯人との関係では、被害者の死亡と時間的・場所的に近接した関係にある以上、被害者の「生前の占有」を侵害していると評価できる。 |
「殺害された被害者=死体」から第三者が財物を奪う | 遺失物等横領罪 |