「取得条項付株式」と「全部取得条項付種類株式」

取得条項付株式

①会社に一定事由が生じた場合に、その株式を会社は取得することができる。
「取得条項付株式」は、次の2パターンある。

全部の株式の内容とする
種類株式の内容とする

【一定事由の例】

停止条件型 ベンチャー投資組合が有する優先株式(取得条項付式)が会社に取得され、引換に普通株式が交付される事由として「株式の上場の決定」と定める
期限型 社債型の優先株式(取得条項付株式)が会社に取得され、引換に交付される事由として、一定の暦日を定める

種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款変更して、「この種類の株式の内容」として定款の定めを設け又は定款の変更をしようとする場合には

⇒この種類の株式を有する“株主全員の同意”を得なければならない(111)

(これにより、その種類の株主の意思とは関係なく、一定の事由の発生により会社に取得されることになってしまうので、その種類の株主を保護するため)

ex:乙種類にだけ「取得条項」をつける場合
 『全体の特別決議』+『乙種類株主の全員の同意』

他の種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合
⇒種類株主総会の特別決議が必要(322・324)

【添付書面】:種類株主総会議事録

 ⇒定款で「当該種類株主総会の決議を不要」と定めることはできない

株式の全部の内容として定めた場合の申請書・解答例

1 登記の事由

会社が発行する株式の内容の変更

1 登記すべき事項

平成27年7月1日変更
 発行する株式の内容
  当会社は、当会社が別に定める日が到来したときに、当会社の株式を
 時価で取得することができる。
  「時価」とは、当該取得請求日に先立つ45取引日目に始まる30取引日の
 株式会社東京証券取引所における毎日の終値の平均値をいう。

1 登録免許税

金3万円

1 添付書面

株主総会議事録              1通
株主全員の同意があったことを証する書面  1通
委任状                  1通

種類株式の内容として定めた場合の申請書・解答例

1 登記の事由

発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更

1 登記すべき事項

平成27年7月1日変更
 発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容
  甲種類株式 500株
  乙種類株式 800株
  乙種類株式 当会社は、当会社が別に定める日が到来したときに、
 乙種類株式を時価で取得することができる。
  「時価」とは、当該取得請求日に先立つ45取引日目に始まる30取引
 日の株式会社東京証券取引所における毎日の終値の平均値をいう。

1 登録免許税

金3万円

1 添付書面

株主総会議事録                1通
種類株主全員の同意があったことを証する書面  1通
委任状                    1通

全部取得条項付種類株式

「種類株式発行会社」において、ある種類の株式の全部を「株主総会 特別決議」によって取得することができる旨の定款の定めがある場合の当該種類株式
⇒「株主総会 特別決議」によって、この「全部取得条項」を一部種類の株式の内容とし、
 株主には対価(金銭・株式等)を交付する

①この場合には、以下に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない(108)

a. 取得対価の価格の決定方法
b. 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件

②種類株式発行会社がある種類の株式の内容として当該事項についての定款の定めを設ける場合
(変更は含まれていない)

【比 較】

「取得条項付株式」の場合には、例えば乙種類にだけ「取得条項」をつける場合
『全体の特別決議』+『乙種類株主の全員の同意』というように、株主全員が同意している。

⇒「株式買取請求」も「裁判所に価格決定の申立て」もない。

他方、「全部取得条項付種類株式」の場合には、
『全体の特別決議』+『種類株主総会の特別決議』しか要求されていない。

⇒「株式買取請求」や「裁判所に価格決定の申立て」ができる。

 

  取得条項付株式 全部取得条項付種類株式
発行することが
できる会社
単一株式発行会社
種類株式発行会社
種類株式発行会社のみ
取得事由 あらかじめ定款に定める 株主総会の特別決議により
取得することができる
一部に取得の可否 できる できない
対 価 定款に定める 株主総会決議で定める
株式・新株予約権
買取請求
できない できる
対価に対する裁判所
への価格決定の申立て
できない できる