改正民法による影響
公開日 2017年7月12日 最終更新日 2020年9月16日
改正民法による影響
総則 | 意思表示,代理,時効 |
物権 | - |
債権 | 全般(改正条文多数-大規模) |
親族 | 特別養子 |
相続 | 全般(中規模) |
改正民法の影響ある他の科目
債務引受け | 登記のしくみは変わらないが実体的に変わってくる。 ⇒網羅的に戦略 |
譲渡制限の特約 | 大きく扱いが変わることによって ⇒供託法-新たな供託原因ができる。 |
遺留分減殺 | 不動産登記法の「遺留分減殺」登記は無くなる。 ・遺言執行者の明確 ・配偶者居住権 |
第96条(詐欺又は強迫)
改正後
1 | 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 |
2 | 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は、知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。 |
《改正論点》
第三者による詐欺の場合に、「騙された者」が取り消せる場合を「相手方」が当該詐欺の事実について「悪意」のときに限らず、知ることができた(過失)ときにも取り消せるというように、拡大された。
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第三者による詐欺において、詐欺とは無関係ない「相手方の信頼を保護するため」に、「騙された者」の「取消権の行使」を制限するのがその趣旨。
その「相手方の信頼」が「保護に値するもの」といえるためには、「相手方」には「無過失」を要求すべきという従来の学説を明文化したもの。
第95条(錯誤)
改正後
1 | 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。 一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤 二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤 |
2 | 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。 |
3 | 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。 一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって 知らなかったとき。 二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。 |
4 | 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 |
《具体的には》
① | 「表意者」に重大な過失があった場合は、原則として、錯誤を理由にその意思表示を取り消すことができない。 |
② | 「表意者」が重大な過失により錯誤に陥っている場合において、 ・相手方が「表意者が錯誤に陥っていること」を、 「知っていた」or「重大な過失によって知らなかったとき」は、 「表意者」は、その意思表示を取り消すことができる。 |
③ |
「表意者」が重大な過失により錯誤に陥っている場合において、 |
④ | 錯誤による取消しは、善意かつ無過失の第三者には対抗することができない。 ▼ 第三者の正当な信頼を保護し、取引の安全を図ったもので、詐欺(96条3項)を類推適用する見解を明文化した。 |