自己株式の取得と引換にする株式の発行まとめ
公開日 2017年4月26日 最終更新日 2019年7月13日
登記事項
会社から「株主への対価」として交付する財産が 「株式」or「新株予約権」の場合には、登記事項となる。 |
⇒それ以外の「対価」は、登記事項ではない ex:社債・金銭 |
添付書面
株主への対価 | ||
株 式 | 新株予約権 | |
①取得請求権付株式 | 添付書面:『取得請求があったことを証する書面』 | |
②取得条項付株式 | 添付書面:『一定の事由の発生を証する書面』 | |
「一部取得」の決定に係るもの |
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株券発行会社:『株券提供公告等関係書面』 | ||
③全部取得条項付 種類株式 |
添付書面:『株主総会議事録』 ※株主総会/特別決議 |
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株券発行会社:『株券提供公告等関係書面』 | ||
④取得条項付 新株予約権 |
添付書面:『一定の事由の発生を証する書面』 | |
新株予約権証券発行会社: |
財源規制
a.会社が取得する財産が「当該株式会社の株式」の場合
⇒財源規制あり
※「自己株式の取得」により、出資の払戻しと同様の結果を生じるので、
会社債権者を害することになる。
b.しかし、株主への「対価」として交付する財産が「株式」である場合
⇒財源規制ナシ
株主への対価 | ||
株 式 | 新株予約権 | |
①取得請求権付株式 | 対価が株式の場合 財源規制ナシ |
分配可能額の存在を証する書面 |
②取得条項付株式 | 対価が株式の場合 財源規制ナシ |
分配可能額の存在を証する書面 |
③全部取得条項付種類株式 | 対価が株式の場合 財源規制ナシ |
分配可能額の存在を証する書面 |
④取得条項付新株予約権 |
対価が株式の場合 資本金の額の計上 |
会社が取得するのは「株式」ではなく 「新株予約権」だから、財源規制は関係ない |
資本金の額の増加の有無
会社から株主への対価 | ||
株 式 | 新株予約権 | |
①取得請求権付株式 | 資本金の額の増加ナシ(自己株式が増えるだけ) | |
②取得条項付株式 | 資本金の額の増加ナシ(自己株式が増えるだけ) | |
③全部取得条項付種類株式 | 資本金の額の増加ナシ(自己株式が増えるだけ) | |
④取得条項付新株予約権(※1) | 資本金の額が増加する | 資本金の増加なし |
(※1) 「新株予約権=現物出資」による募集株式の発行 |
定款添付の要否
変更登記の内容 | 定款添付 の要否 |
①取得請求権付株式の取得と引換え にする新株予約権の発行 |
〇 |
②取得条項付株式の取得と引換え にする新株予約権の発行 |
〇 |
③全部取得条項付株式の取得と引換え にする新株予約権の発行 |
✖ |
a.定款添付が必要
「①取得請求権付株式」or「②取得条項付株式」 の取得と引換えにする
「新株予約権」の発行による変更登記
『定款』:「新株予約権の内容の記載」がある |
「①取得請求権付株式」「②取得条項付株式」の内容として |
b.定款添付は不要
「③全部取得条項付株式」の取得と引換えにする
「新株予約権」の発行による変更登記
「全部取得条項付種類株式」の取得対価は、 『全部取得条項付種類株式の取得を決定する株主総会の決議』 によって定めれば足りる ▼ 必ずしも定款に記載されているわけではない ▼ 定款添付は不要 |
cf:対価が「株式」の場合
その内容は「登記事項」となっているため、「定款」の添付は不要