【平成30年改正】配偶者居住権
公開日 2020年8月5日 最終更新日 2020年9月1日
配偶者居住権の内容
配偶者居住権 条文
【改正後民法】
第1028条(配偶者居住権)
1 | 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。 | |
Ⅰ | 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。 | |
Ⅱ | 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。 | |
2 | 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。 | |
3 | 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。 |
第903条(特別受益者の相続分)4項の要約
4項 |
配偶者居住権の趣旨
これまでは、被相続人と配偶者が共に暮らしていた建物についても、相続財産の内として遺産分割の対象だった。
そして、例えば、配偶者がその建物の所有権を相続し、子は預貯金を相続するとなると、配偶者としは、
「住むところはこれまで通り今住んでる家に住めるけど、でも生活費がない・・・」
ということになりかねなかった。
そこで、「配偶者居住権」という「債権」という形で登記することによって、相続財産の分配において、家に無償で住み続けることができた上で、配偶者の現金や預貯金などの生活費も確保できるよう、考慮した制度。
具体的には、「配偶者居住権設定」の前提として、当該建物に「相続」「遺贈」「死因贈与」を原因とする「配偶者以外の者」への所有権移転登記が必要となる。
「配偶者居住権」が成立した場合、設定登記を申請する。
➡これにより、第三者に対抗できる権利となる。
(cf:「配偶者短期居住権」は登記できない。)
設定登記
登記手続き
前提として必要な登記 | 建物につき「相続」「遺贈」「死因贈与」を原因とする「配偶者以外の者」への所有権移転登記が必要 |
原因日付 | 「遺産分割の成立日」or「遺贈の効力発生日」 |
存続期間 (絶対的登記事項) |
原則:配偶者の死亡まで 例外:別段の定めがある場合 |
任意的登記事項 | ex:第三者の使用収益を許す旨の特約 ※この場合には、建物所有者の承諾は不要となる。 ※特約は登記事項 |
登録免許税 | 課税価格×2/1000 |
登記の内容例
登記の目的 | 配偶者居住権設定 |
原因日付 | 年 月 日 遺産分割 ※ |
存続期間 | 存続期間 ○○の死亡まで |
その他 | 特約 第三者の使用収益を許す |
登録免許税 | 課税価格×2/1000 |
※ 「設定」ではなく「年月日遺産分割」「年月日遺贈」「年月日死因贈与」とする(改正ではっきりした)

ふつうは建物を賃借してるときに、誰かに又貸しするには建物所有者の承諾が必要(民1032Ⅲ)なんですけど、この配偶者居住権設定登記では、特約として「第三者の使用収益を許す」を登記してれば、建物所有者の承諾は必要なくなるんですよ。
私はこの特約を使って、この家じたいは、所有者である長男の承諾なしに、
第三者に賃貸し、賃貸料を収益しています。
そして、私自身は老人ホームで暮らしてます。